行政書士試験の受験から開業までの間には通常、半年間程度の時間があります。合格の可能性が高い場合、この間に行政書士事務所開業への準備を進めるという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、この期間にどのような活動をするべきなのかについて考えてみたいと思います。
行政書士事務所の開業にあたって最低限必要なものについて紹介した記事(「行政書士事務所を開業するときに最低限必要なもの」)もありますので、そちらも参考になれば。
行政書士事務所の開業前にウェブ関連でやっておくこと
まずはウェブ関連でやっておきたいことですが、基本的には、すぐに結果が出にくいことに早め早めに取り組むのがオススメです。
ホームページの仕込み
わたしたちがこのホームページ内でも繰り返し述べているように、自然検索(Googleなどの検索結果)経由でホームページに一定のアクセスを得ようと思うと、その準備に少なくとも半年くらいはかかるケースが増えています。
建設業許可など、競合するサイトが多い場合、ウェブ経由で毎月相談が入ってくるようになるまで半年では難しいことも多いですが、いずれにしても時間がかかることは間違いありません。早めにホームページの仕込みをはじめて、記事を書いておくのは同期開業する行政書士に対してアドバンテージになります。
特に大都市圏以外のエリアでは、行政書士事務所開業前にしっかりとホームページに記事追加などを行っておいたことで、開業直後から自然検索での集客が発生したというケースも実際に多々あります。
行政書士登録が完了する前に、先だって半年ほどコンスタントにホームページに記事を追加できれば、ウェブからの受任ルートを構築する土台作りとして効果が期待できます。
なお、「実務をやったことが無いから何を書いていいのか分からない」という人は、手続きについて解説した書籍を購入して、それを読み込みながらアウトプットとして記事を書いていく(もちろん、書籍丸写しにならないように自分の言葉で)と、知識を得ながらホームページの充実も図れます。まずは行政書士の主要な業務をピックアップして、記事制作にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ブログやSNSをはじめておく
これは集客というより、行政書士や隣接士業(特に同じ時期に開業しようとしている人たち)の間での認知を高めるのに有効な手段ですが、開業前段階からブログやSNSをはじめる人も多いです。
自己採点の結果が微妙なときなどは、なかなか本腰を入れてホームページを作るというのが難しいと思いますので、SNSは、そんなときに取り組んでみるウェブの活用方法としても有効です。
いまは後述のように交流会でのネットワーク形成が難しい状況ですから、Twitterなどを使って同業者や他士業と知り合いになっておくのは、様々な面でメリットがあります。
ただし、明確にビジネス目的で作るホームページと違い、SNSはある程度パーソナルな部分を出すことになるので、やり方を間違えてしまうと「変な人」「あまり近づかない方がいい人」「プロ意識の薄い人」という印象を与えてしまいます。運用するときは、ある程度の方針を決めてから取り組むなど、注意が必要です。
行政書士のSNS活用については「行政書士のSNS活用について」でも紹介していますので、興味のある方は読んでみてください。
行政書士事務所開業前にウェブ関連以外でやっておくこと
ウェブ以外でも、行政書士事務所の運営に関する事業計画を練ったり、情報収集をしたりと、やってプラスになることは数多くあります。
以前であれば交流会などに参加して、開業前から人脈づくり(人脈づくりについては「行政書士のネットワーク作り」でも紹介しています)をしたり、実務セミナーに参加して、実務について学んだりする人が多かった印象です。
なお、この記事を書いている2020年11月の時点では、依然として新型コロナウイルスの影響は大きく、以前に比べて交流会などは減っています。
また、実務セミナーについてはオンライン開催が増えて受講しやすくなった面はありますが、交流や懇親という面では難しくなっています。
セミナーや書籍での知識習得はほどほどに
他の記事でも触れましたが、開業前に業務に関する書籍を買い込み過ぎて、開業資金を使い込みすぎないように注意してください。後々、その書籍が役に立つかは分かりませんが、お金さえ残っていれば乗り切れる事態は多いです。
行政書士事務所を開業した後にどのような知識が役立つのかについて紹介した「行政書士開業後に役立つ知識」という記事もあります。
筋トレ・ランニング
ここまでの内容とはだいぶ話題が変わりますが、受験生活で身体がかなり鈍ったという人は、開業に向けて試験直後から筋トレやランニングを行っていくのもよいかもしれません。
行政書士事務所という事業を続けていく上で大事になるのは、開業資金、そして自分の心身双方の健康です。どちらも、不足すると経営判断を誤ります。
まとめ
ここで紹介した以外にもやるべきこと、やれることは様々ですが、ある意味では開業しようと決意した瞬間から行政書士という事業はスタートしています。
行政書士登録が完了して、行政書士として仕事を始める前の時間も有効に活用できると、事業が軌道に乗るまでの時間を短くできる可能性が高くなります。
実際、行政書士事務所開業直後から業務を受任して活動範囲を広げていく人というのは、試験終了直後から既に動いていることが多いです。
まだ資格試験の受験生的な思考が強く、行政書士という仕事に具体的なイメージをなかなか抱けない時期かもしれませんが、先手先手、できるとこから開業後に向けての仕込みを行っていきましょう。