行政書士がホームページ制作を外注し、いざ運用をはじめてみるとそれまで見えなかった不満点が見えてくるということも多いです。また、解約時にトラブルになるケースも散見されます。
そこで、ホームページ制作を依頼するときに、どのような点に注意して決めるべきか、継続的な契約のケースを中心に、主なポイントを紹介します。
ホームページの更新方法
ホームページを公開したあとには、
- ページの追加
- 営業時間、電話番号、報酬額などの変更
- テキストの修正
- 画像の差し替え
といった様々な修正、変更の作業が発生します。
これらの作業が自分でできるのか、それとも制作業者が行うのか、制作業者が行うとすれば費用は発生するのかといった点はしっかり確認しておきましょう。
納品されたホームページを行政書士の側で全く更新できない仕組みだと、通常、1ページ追加するごとに数千円、電話番号を変更するたび数千円など、作業費用が発生することになります。
また、制作業者が多忙であると、すぐに修正したくても対応してもらえないということもあるようです。
更新の容易性と見た目・デザインはトレードオフの関係になりやすいので、ホームページの制作を業者に依頼する場合は、何でもすべて更新可能なように設定してもらうことはあまり得策ではありません。
とはいえ、ページ内の文章の変更や、事務所自体のサイト(コーポレートサイト)であれば日々のお知らせの更新などは、都度、行政書士自身で行える仕組みになっているほうが便利です。
WordPressなどの更新システムを導入してもらい、その辺りの変更や更新は自分で出来る仕様にしてもらうことは、最低限必要ではないでしょうか。
ドメイン、サーバーの管理
何々.comといったドメインや、ホームページのデータの置き場となるサーバーについては、制作業者か行政書士か、どちらが管理することになっているのかも確認しておきましょう。
自分で管理しなければいけない契約の場合には、ドメインやレンタルサーバーの契約更新を忘れてしまうと、ある日突然「ホームページが表示されない」「メールアドレスが使えない」「ドメインが失効して別の人に取られてしまった!」という事態が起こってしまいます。
逆に制作業者側が管理する場合には、毎月の管理費を支払う必要がありますので、ホームページを運用するためのコストは上がります。
ドメインやサーバー、そしてホームページの所有権などは、後述するように解約時のトラブルにも繋がりやすい点です。ホームページを制作する時点で、しっかりとチェックしましょう。
ホームページやドメインの権利関係
これは主に契約を解除するときに問題になるのですが、ホームページ自体の所有権や追加した記事の著作権などの権利が、どう処理されるのかという点も要注意です。
契約内容によっては、ホームページ制作業者との契約を解除すると、それまで頑張って育ててきたホームページやドメインを一切放棄しなければならず(解約した時点でホームページが全く表示されなくなる)、ホームページ制作業者の対応が悪く解約したいというときでも、ずるずると契約を続ける羽目にもなりかねません。
また、解約してもホームページやドメインがそのまま利用できる場合でも、契約内容によっては短期解約によるペナルティで追加の費用が発生してしまうケースもあります。
ホームページを作るときにいくらコストがかかるのかだけでなく、1年後、3年後に解約した場合に費用負担があるのか、ドメインやホームページはどうなるのかについても、契約前段階で確認しておくほうがよいでしょう。
高額なホームページ制作業者は知識がついてから
行政書士自身にホームページ制作や運用の知識がそれほどなければ、100万円を超えるような高額なホームページ制作サービスは、失敗したときのダメージが非常に大きいため、開業時に利用することはあまりオススメできません。
もちろん高額なものが一律でダメというわけではありませんが、費用があまりかからない方法でホームページの制作や運用をある程度行ってみて、それなりに知識がついて本当にそれだけの価値があるのか判断できるようになって以降に検討してみるといいでしょう。
また、高額なホームページ制作に関しては、分割払いで実質的に支払いが完了するまで解約できないようなものもありますので、その点も注意しましょう。
「維持管理費が毎月2,3万円かかっても、10万円、15万円の仕事を月に1件でも取れれば十分利益は上がるので損にはなりません」といった皮算用のセールストークは、非常によく使われます。
業際に関する知識の有無
これは新人行政書士の方のホームページ制作で見かけることが多いのですが、ホームページ上の記載が他士業との業際を侵す行為をしているかのように見えるケースがあります。
行政書士が入稿した内容をそのまま記載しているのか、ホームページ制作業者が考案、編集しているのかはケースバイケースですが、他の士業法に抵触するような記載がホームページやリスティング広告に存在すると、インターネット上で瞬く間に炎上してしまうリスクもあります。
士業の世界に詳しくないホームページ制作業者に依頼する際には、行政書士の側でしっかりと業際について(使うキャッチコピーや文章について)注意しておく必要があります。
まとめ
行政書士がホームページ制作を業者に依頼しようと思うと、様々な業者、契約形態などがあり、迷ってしまう人も多いかもしれません。
どの制作業者に依頼するのがいいのかについては、予算、ホームページの利用方針(パンフレット代わりなのかウェブから集客を検討するのか)、制作業者との相性などを総合的に考慮して決めることになります。
既に『開業直後の行政書士が陥りがちな罠』でも触れましたが、この際、「相手からかかってきた電話、相手が突然訪問してきての営業」で制作を即決することは、大抵の場合失敗につながりやすいです。
自分で調べて比較検討する姿勢、相手からプッシュされた場合には一度保留して冷静に考える姿勢は、特に開業から日の浅い行政書士にとっては身を守るために必須と言ってもよいのではないでしょうか。