行政書士がホームページを作ったとしても、そのまま放置していればホームページ経由で業務を受任できるというわけではありません。
ではどうすれば、行政書士業務をホームページ経由で受任できるようになるのでしょうか。基本的なところから説明していきます。
行政書士のホームページは、どこから訪問されるのか
まず、ホームページに何かしらの方法で訪問してもらわないことには、どんなに良いホームページを作ったとしてもまったく意味がありません。
ユーザーが行政書士のホームページにたどり着く主なルートには、どのようなものがあるのでしょうか。はじめに整理しておきましょう。
検索エンジン
ホームページの訪問経路として真っ先に思いつくのが、GoogleやYahoo!といった検索エンジンです。
様々な語句での検索結果や、「指名検索」と呼ばれる行政書士の名前や行政書士事務所名での検索から、ホームページに訪れることになります。
広告
リスティング広告(PPC広告)などのインターネット上の広告のほか、チラシやDMなどの広告からもホームページへの訪問が望めます。
紹介
紹介者が「今回ご紹介する行政書士のホームページはこれです」といった形で、メールにURLなどを添えて伝えて訪問されることがあります。
「今どきホームページくらい持ってないと」と話題にあがるときは、こういった紹介経由でのホームページ活用を意味していることが多いのではないでしょうか。これは最終的には「ホームページ経由」といえなくもありませんが、元をたどればアナログ経由の部類ですので、このページでの説明は省きます。
SNS
Twitter、Facebook、Linkedin、Youtube、UdemyといったSNSや動画サイト経由で訪れることもあります。
ただ情報を届ける相手のコントロールが難しく、将来の顧客候補にはまったく情報が届かず、気づけば同業者からのアクセスばかりといった状態にもなりやすいので注意が必要です。
1.検索エンジン経由の訪問
行政書士がホームページを作るときに、
「見栄えを綺麗に作って公開すれば、業務を受任できるような検索ワードの検索結果に勝手に上位表示されて問い合わせが舞い込む」
と考えている方もいるようです。
しかし現実にはそのようなことは起こらず、ホームページに何も手を加えず放置していれば、検索エンジン経由でホームページに訪れる人はほぼ皆無という状態が続きます。
下手をすると、自分の事務所名で調べても検索結果に全く表示されない、ということも起こりえます。
ではどうすれば、検索エンジン経由で見込み客にホームページへ訪問してもらえるようになるのでしょうか。
検索エンジンの仕組み
まずは基本的な検索エンジン(最もシェアの大きいGoogleを前提に説明します)の仕組みをごく簡単に確認しましょう。
そもそも検索エンジンの目的は、「検索したユーザーが求めている情報にたどり着けるようにする」ということです。
そのために検索エンジンはインターネット上を巡回(「クロール」と呼びます)して、情報を収集し、その内容を様々な観点から解析し、ユーザーが検索したときに、ユーザーの目的に合致するであろう順番に並べて表示しています。
参照:『検索に対するGoogleのアプローチ(Google公式)』
検索エンジンで上位表示されるためには
それでは行政書士の業務受任に繋がるような検索ワード(検索クエリ)の検索結果で、上位に表示されるためにはどうすべきなのでしょうか。
この点についてジェノモスでは、良質な記事=訪問者の利益になる記事を増やしていくことが、最も確実かつ安定した方法だと考えています。
良質な記事を追加して、検索エンジンから「このホームページは有益なようだ」と評価を得ることで検索順位を上げるという、王道とも言える手法です。
良質な記事というのは、内容ももちろんですが、見出しや画像挿入などといった構造面でもある程度は配慮が必要になってきます。
また同時に、必要以上にキーワードを盛り込んだりといった読み手が不自然に感じるような手法はなるべく避けるべきでしょう。
SEO対策は検索エンジンの裏をかく手法ではない
いわゆるSEO(検索エンジン最適化)対策と言うと、検索エンジンの評価基準を推測して、それをハックするようなテクニックを駆使するというイメージがあると思います。
しかしこういったテクニックは、やり過ぎればスパム扱いされ検索エンジンからペナルティを受けたり(最悪、検索結果に何も表示されなくなってしまいます)、検索エンジンの評価基準が変わったときに大きく掲載順位が変動したりといったリスクもあります。
行政書士に、ある業務を依頼する(可能性のある)人が、
- 何に困っていたり不安を感じたりしているのかを考え
- その人がどのような単語で検索するかを推測し
- どのような情報提供が必要かを検討し
- 記事を読んだ結果として行政書士へ業務を依頼してもらうにはどうするか
ということを考えて良質な記事を追加するというのが、検索エンジンの仕様変更にも比較的影響を受けにくい最善の方法だと考えています。
ただし、即効性がある方法ではないので、結果が出るまでにそれなりの時間を要することになります。
この点、よく「SEO対策を施したホームページ」と銘打って業者が納品したブログ機能付きのホームページで「今日は役所に行ってきました」とか「そろそろ寒くなってきましたね」など、個人の日記のようなブログを更新する行政書士も多いです。しかし、個人的な日記をいくら更新しても、他者に役立つ質の良い記事がホームページに増えたことにはなりません。
これをいくら続けても、ホームページから効果的に業務を受任することは困難です。
行政書士業務受任のために必要な記事の質と量
いずれにしても、行政書士のホームページに、検索エンジン経由での訪問を呼び込むためには、記事の追加が必要になることは間違いありません。そして、情報発信を行う行政書士事務所のホームページが増える一方であることから、一定のアクセスが得られるようになるまでの労力は年々増えてきています。
そのため、一定のアクセスに達する以前に挫けてしまい、「やはり行政書士業務をホームページから受任するなんて無理なんだ」と結論づけてしまう行政書士も非常に多いです。
では検索エンジン経由でのアクセスを得るために、どのくらいの記事の質と量が必要になるのでしょうか。
これはおおよその目安ではありますが、「2,000文字以上のオリジナリティのある質の良い記事を50記事以上」というのが最低ラインだと考えています。概ね、40~50記事まではオリジナリティのある記事をホームページに追加できる行政書士事務所が多いため、そこから一歩抜け出すためには50記事を超えていく必要があるからです。
もちろん取り扱う業務や競合するホームページの数など、様々な状況や環境によって結果は変わってきますので、上記はあくまでも目安です。それよりかなり少ないページ数で反応を得られるケースもありますし、相続関係など他士業を含めて競合の多い分野のホームページを軌道に乗せようとする場合には、倍の100記事でも全然足りないこともあります。
参照:ジェノモスコラム『【決定版】行政書士のホームページ記事作成ガイド』
検索結果に表示されやすい「質の良い」記事とは
「質の良い」については、なかなか定義や基準を設定しにくいのですが、
- 「どこにでも書いてある」「役所の手引きそのまま」の情報ではなく、その行政書士ならではの独自の情報や経験が書かれている
- 読みやすく理解しやすい、正しい日本語で書かれている
- 見出しが適切に設定されている
- 必要に応じて図表や画像が挿入されている
といったポイントを満たしていれば、質としては問題ないのではないでしょうか。
2.リスティング広告(検索連動型広告)からの訪問
広告からホームページに誘導するときに、ホームページを持つ行政書士がよく使うのが、リスティング広告と呼ばれる検索連動型広告です。
これはユーザーが検索した語句に関連する広告を表示するもので、ページを追加してホームページを育てることなく、検索結果からアクセスを獲得できる点が最大の特徴です。極端な話、1ページのみのホームページでも、手法によってはコンスタントに依頼を得ることが可能です。
リスティング広告の仕組み
リスティング広告では、まずキーワードや広告文を設定し、1クリック辺りの予算を決定し、入札を行います。
設定したキーワードに対応した検索が行われた場合、入札額やユーザーにとっての有益さなどによって決められた掲載順位にしたがって、検索結果画面のどこかに広告が表示されます。
リスティング広告も育てる必要がある
リスティング広告では、ページを多く追加しなくてもアクセスを獲得できますが、だからといって「最初に設定したらあとは課金し続ければよい」というわけではありません。
最初に広告を設定した段階では、行政書士業務の受任に繋がる可能性が低いキーワードにも広告が表示されてしまっていたり、逆に受任に繋がる可能性が高いキーワードが拾えていなかったりといった状況です。
その他にも、広告文、広告の単価、広告を表示する地域など、調節が必要な要素は多くあります。
そのため、リスティング広告も、継続的にデータを参照しながら調整して、最小限の予算で最大限の効果を発揮するように調整していかなければ、ただただ広告費を垂れ流すだけにもなりかねません。
また、広告経由でホームページに訪問して検討中だった人が、数ヶ月後に「依頼のために訪問しようとしたけど(広告が出ていないため)たどり着けない」といった状況に陥らないように、リスティング広告というのは基本的に、ずっと利用し続けることが前提の周知手段です。
「10,000円だけ広告を展開してみたけれど、依頼につながらず意味がなかった」というのは、これらの点からも仕方ない結論といえます。
リスティング広告を業者に依頼することもできる
自分でやるのが難しいようであれば、業者に依頼して調整してもらうというのも選択肢に入れてみてもいいかもしれません。
業者に依頼する場合は、毎月一定金額以上の広告を配信する契約を結び、その一定額の何割かを業者の手数料として支払うことになります。
なお、士業のリスティング広告が得意な業者と不得意な業者がありますので、どれくらいの効果が期待できるかについては、業者によってピンキリになります。リスティング広告を業者に依頼する場合、使っている(ウェブ集客の成果を上げている)同業者などから、紹介してもらうほうがよいかもしれません。
「作って放置」ではホームページは機能しない
ここまで、行政書士のホームページへの、検索エンジン経由、リスティング広告経由での訪問について解説してきましたが、どちらの方法(もしくは両方)を採るとしても、労力か予算(もしくは両方)を割く必要があります。
参照:ジェノモスコラム『行政書士のホームページ集客「検索vsリスティング広告」』
そして、検索エンジン経由にしてもリスティング広告経由にしても、ゼロからルートを切り開かなければならないホームページ立ち上げ初期が、どちらも一番難しく感じるはずです。
しかし、どんなに綺麗なホームページでも、どんなにSEO対策を施したホームページでも、ただ作って公開して放置しているだけでは、次々と訪問者がきてページを読んで問い合わせをしてくれるという状況にはなりません。
「飛び込み営業はしたくないから、ホームページを作って楽に業務を受任したい」「ウェブから効率的に集客している事務所の話を聞いて、自分もホームページを活用したくなった」という人もいると思いますが、ホームページから業務を受任するのも、(質の違いこそあれ)飛び込み営業と同様に、それなりの労力と時間が必要です。
参照:ジェノモスコラム『行政書士のホームページはどうやって育てる?』
それでも、ホームページをしっかりと育てて、その苦労に見合うだけの成果を出している事例をたくさん見てきていますので、行政書士がホームページに取り組む価値は十分にあると確信しています。