元&現役行政書士のGenomosメンバー3人が座談会形式で語るGenomos座談会の第5回は、行政書士と新型コロナウイルスについて語ってみようと思います。
Genomos代表、士業向けウェブ制作会社風デザイン株式会社代表。元行政書士。
Genomos経営コンサルティング担当。行政書士法人シグマ代表社員。
Genomos所属。行政書士法人シグマ代表社員。
新型コロナウイルスの感染が日本で拡大してから約1年半経ちますが、今回は新型コロナウイルスが行政書士業務に与えた影響や行政書士事務所のコロナ対策などについて話してみたいと思います。
私はもともとリモートワークに近い働き方だったのもあってそれほど大きな変化はないのですが、阪本さんからは行政書士業務の現場最前線からの視点で、岩本さんからは様々な士業事務所に関与している立場からの視点でのお話を聞けると面白いかなと思います。
ということで早速阪本さんに伺いたいんですが、コロナの流行以来、仕事のやり方にはどのような変化がありました?
そうですね。
最大の変化は、お客様との打合せの場面では、Zoomなどを使ったオンラインでの打合せが爆発的に増えたことでしょうか。
コロナ前では、お客様からの要望でオンライン打合せを行っていましたが、コロナ禍になってお客様のオンライン打合せの環境が整ったり、心理的抵抗が減ったりして、シグマも積極的にオンラインでの打合せを提案するようになりました。
我々もオンライン打合せが円滑にできるように整えましたし。
セミナーもオンラインで行う、いわゆるウェビナー形式が大多数になったりと、オフラインからオンラインへの移行が一気に進みましたよね。
役所の対応にも変化はありましたか?
役所対応で一番の変化は、申請書類に捺印が要らなくなったことでしょうか。
申請書類への捺印が原則不要になったことで、お客様より捺印を頂く手間は減ったのですが、行政庁は、事業者の申請意思の確認は行政書士側が行っている前提で書類審査が進む雰囲気になっていますね。
申請書類への捺印は形式的に不要にはなったけど、欠格事由に抵触していないことの確認や申請意思の最終確認が重要になっていると感じています。そのため、シグマの手続き準備フローをそれにあわせて変更しました。
押印が不要になったからといって、単純に手順がひとつ減って簡便になったわけではないということですね。コロナ禍の中ということもあってか、河野大臣の鶴の一声で、押印不要の流れは一気に進みましたよね。
その他にコロナの影響で対面のハードルが上がって郵送申請でOKな役所が増えたりといったことはありましたか?
建設業許可や宅建業免許の分野では、郵送での申請が可能な手続きが増えたと耳にしていますが、シグマの専門分野である、運輸業・旅行業・古物商の分野では、正直、変化を感じていません。
運輸業の分野ではコロナ前から、郵送での書類提出が広く認められていました。旅行業と古物商は、コロナ禍でも出頭主義が続いています。
古物商の役員変更届出などの手続きは、そろそろ郵送受付して頂いてもよいのでは・・・と思うのですが、変わらないですね。
この状況でも変わらないとなると、行政手続きの大半が郵送で済むとかオンライン化するとかという状態になるまでにはかなり時間がかかりそうですね。
行政書士業界ではこのような変化があったということですが、様々な士業事務所に関与してる岩本さんから見て、士業の世界に起きた変化というのはどのようなものがありますか?
コロナ禍になって、特に緊急事態宣言が発令されて外出に制限のかかった地域では、業態を変更しようとする動きが大きかったように思います。
特に大きかったのは、既に阪本さんも話題に挙げていますがZoomなどを利用したオンラインでの相談や業務進行への変化ですね。これをウェブサイト上でも分かりやすく掲載する事務所さんが増えました。
同時に、オンラインで相談や業務進行が可能になった分野においては、それまでと比較して「広範囲の顧客がターゲットになるのでは?」と考えた士業さんが、業務受任のエリアを広げる動きも活発化しました。
さらにいえば、これはもともとオリンピックイヤーに合わせたキャッシュレス振興の流れとも重なるかたちになりましたが、オンラインでの業務進行のためのキャッシュレス決済導入、この動きも士業事務所さんでは大きかったと思います。
全体的にここ数年じわじわ進んできた様々なもののオンライン化がスピードアップしたということかもしれませんね。
ところで岩本さんは様々な士業事務所に訪問する機会が多いと思いますが、コロナ感染への対策というのはどういったことをしている事務所さんが多いですか?
マスク着用、入口で手の消毒、相談スペースのアクリル板配置、などが多いでしょうか。あとは一定時間打ち合わせをしたら、窓を開け放って全面的に換気するという事務所さんもありました。
この辺は、士業事務所も飲食店などとあまり違わない感じですね。
シグマのコロナ対策も岩本さんの関与先の事務所さんとほぼほぼ一緒ですが、消毒液を事務所内のいたるところに設置したり、窓開けに加えて、換気扇とサーキュレーターを執務中は稼働させたりしています。
事務所のレイアウト関係では、打合せスペースのテーブルにパーテーションを置いても狭く感じない対策と、お客様と対面で座ったときに少しでも距離を確保するために、打合せテーブルを購入して幅を広げましたね。職員さんたちの座席の配置もソーシャルディスタンスが確保できるように席替えもしました。
マスクが入手しにくい時期は、知人の行政書士法人さんから分けて頂いた箱マスクを、所員に一人1箱ずつ持って帰ってもらったことがあったな・・・。
幸いなことに武蔵小杉オフィスは、住居用マンションを事務所使用で借りているので、窓が大きく開けられるので助かっています。窓が開けられなかったら、換気で困っていたかな。
やはりみなさん色々と苦慮して対策してますよね。
ようやくワクチン接種もはじまって、少しずつ収束に向かう気配が出てきますが、以前の日常に戻るにはまだ時間がかかりそうですね。
マスクもアクリル板も要らない日が早く来て欲しいです。
(座談会第6回に続く)