『これからの集客はYouTubeが9割』
出版社:青春出版社
著者:大原昌人
【「YouTube=検索エンジン」時代】の稼ぎ方とは? フリーランスも企業も、これからは「YouTube集客」が常識に。その仕組みや具体的ノウハウを、大手経済系Webメディアにも携わる気鋭のプロデューサーが、惜しげもなく公開。
http://www.seishun.co.jp/book/23116/
「収益の構造」から「チャンネルの始め方」「ウケるコツ」「お役立ちサイト」「継続のヒント」「次世代型の集客法」まで、YouTubeを使って稼ぐ秘訣が、これ1冊で丸わかり! “新時代の儲けの仕組み”がここにあります。
阪本コメント
前半はビジネスとYouTubeの親和性についての解説が、後半は動画制作・公開のポイントが本書ではわかりやすく紹介されている一冊です。
私は今後、「1企業につき1YouTubeチャンネル」という時代が必ず来ると予測している。
P30 序章 YouTube市場はまだまだ先行者有利
私が所属している行政書士法人では2022年1月時点ではYouTubeチャンネルを持っておらず、「波に乗り遅れているぞ」と焦りながら読了いたしました。
行政書士事務所が集客にYouTubeを活用するためには、見込み顧客を対象に、自社サービスへの誘導目的で行うべきであり、そのためには長期的な信頼を得られるような良質な情報提供を行うのが原理原則です。
とはいえ、このような動画はチャンネル登録者や動画再生回数の急激な増加は期待できないため、コツコツと投稿を継続していくことが大切であると本書に記されています。集客にホームページを活用する場合も、記事をコツコツ追加・コツコツ修正するメンタリティーが必要になるため、YouTubeの世界であっても同じなのかと驚きました。
P89~ ビジネス系チャンネルの落とし穴と対策
P102~ YouTubeでは超高額商品は売れない
P185~ 自分のことは自分が一番客観的に見られない
本書で紹介されているノウハウの中では、個人的にこれらの3つのテーマを興味深く読ませていただきました。
特に3つ目の「客観性」の目線を失ってしまうと、集客目的でYouTubeを始めたはずなのに、世間からの信頼を失墜させる動画を企画・公開しても、炎上するまで気づかないという事態に陥りかねません。
ビジネスの基本は信用・信頼です。それを揺るがすような情報発信には気を付けたいものです。
自戒をこめて。
言い換えれば、「客観性」が一番大切なのです。
P185 第3章 これでうまくいく!動画制作・公開のポイント
泉谷コメント
本書では、Youtubeをビジネスで活用する方法について、網羅的に紹介されていますので、Youtube活用を考えている行政書士には参考になる点も多い(参入するにせよ、しないにせよ)のではないでしょうか。
行政書士がYoutubeに取り組む場合、行政書士の専門分野に関する情報を発信しても、対象となる視聴者層がかなり狭い点が最大の課題になります。つまりこれは動画単体で再生数を稼ぐことが非常に難しいということを意味します。
本書でも紹介されていますが、税理士であれば、多くの人が興味を持つ「お金」をテーマに出来ますが、例えば行政書士が「建設業許可」をテーマにしたとしても、対象となる層の人数はかなり限定されます。
それもあってか、Youtubeを活用したいと考えている行政書士は増えてきているようですが、なかなか手を出せていない(出していない)人が大多数で、参入した場合でも同業者向け、もしくは試験の受験生向けが多いというのが現状のように見えます。
また、Youtubeもウェブと同様に日々競争が激化しています。本書でも「半年で100投稿」が最低の目標ラインとされていますが、日々の業務をこなしながら半年で100本の動画を公開するというのは綿密な事前準備と相当な労力が要求されるため、継続性の観点も考慮して参入する必要がありそうです。
参入のハードルが高いYoutubeですが、上手に活用できれば効果が大きいことは間違いありませんので、本書なども参考にしながら参入を検討してみる価値はあるのではないでしょうか。
岩本コメント
動画は短時間でも非常に多くの情報を伝達することができるため、活用できれば強いメディアの一つです。Googleの検索結果にも関連するYouTube動画が表示されることがありますが、ここを狙ってのコンテンツ拡充を図る行政書士もまだ数が少ないため、事務所の主力業務について様々な情報を発信していくことはSEO対策としても機能します。
本書は、YouTubeをビジネスで活用するための考え方や使い方について、要点をまとめて解説してくれています。税理士や社労士について触れられている箇所もありますが、これからYouTubeに取り組もうと考える行政書士が、最初に手に取って概要をつかむのにも(ボリューム的な面でも)向いている1冊です。
もっとも、動画は情報量が多いメリットの裏返しとして、マイナス面の伝達も一瞬であることには注意を要します。YouTubeでの動画配信に取り組むものの、その表情や雰囲気が怖かったり暗かったりすると、「なんだか否や感じの行政書士だな」と動画を見れば見るほど印象が下がってしまう結果に繋がりかねません。
P104では最小構成でのYouTube動画配信に必要な道具が説明されていますが、行政書士が取り組む場合には室内照明で暗くなりがちな事務所内での撮影が増えることから、もう1点、照明器具についても最初から用意しておくほうが無難でしょう。
また、本書ではP86でYouTubeの広告収益化について、モチベーション維持に資するとの内容で触れられています。しかし、行政書士が取り組む場合にYouTube自体の収益化を意識しすぎると、本来意図した目的とは異なる方向へ突き進む恐れがあります。その点に注意しながら、YouTube自体の収益化が必要なのか否か、また動画自体のアクセスをそこまで増やす必要があるのか否か、よく検討しながら進めるほうがよいでしょう。
個人的に、行政書士はチャンネル登録者云々より、まずP206で触れられている「YouTube×Web」から活用するのが動画配信のメリットを享受しやすいと思います。