Q. 行政書士です。ようやくホームページから問い合わせが来るようになったのですが、ほとんどが質問だけで終わってしまい、無料で調査をして回答し続けているような状態になってしまいました。この状況を改善して受任できるようにするにはどうしたいいでしょうか?
A.ホームページ経由の問い合わせが質問ばかりになってしまう理由はいくつか考えられますので、該当すると思われる要素から修正を図り、業務受任に近い問い合わせの率を上げていきましょう。
ホームページ経由での問い合わせが質問ばかりになってしまう場合、その主な理由とそれぞれに対する改善すべき課題は次の4つが挙げられます。
1.ホームページの情報量が足りていない場合
まず第一は、そのホームページに情報が足りていない場合です。そもそもの情報が足りないと、ホームページを訪問した人にとって自分が知りたい情報が載っていないため「電話して聞いてみよう」とか「メールで問い合わせてみよう」といったアクションにつながりやすくなります。
そして、ホームページに情報が足りていないケースでは、そのページ自体に情報が足りていないケースもあれば、ホームページ全体で情報が足りていないケースもあります。
前者は、行政書士さんがホームページの記事を更新する際に「全部書いてしまったら自分で手続きを進めてしまうのでは……」という不安を抱いて、そのテーマの途中まで解説したあとに「より詳しくはお電話・メールにてお問い合わせください」と濁してしまうケースでよく生じます。
この場合、ホームページの訪問者は「知りたいことは電話かメールで聞く」という思考になるため、質問の電話やメールが増えてしまいます。
後者は、1つの記事は完結しているものの、そのテーマと関連して生じやすい不安や話題に対するフォローのページが存在しないため「こんなケースではどうなのだろう?」「わたしの場合はどうなのだろう?」と、不安や疑問を解消するために電話・メールでの質問が入ってしまうケースです。
こちらの場合は、電話やメールで質問が入る都度、よくある質問ページにそれと同じ質問・回答を掲載したり、1つの記事として解説してしまうほうがよい話題であれば新たなページを追加して公開することで、ホームページ訪問者は自己解決できるようになるため、結果として質問電話・質問メールを減らすことができます。
2.業務案内ページの無い完全な手引き型になっている場合
第二は、そのホームページに業務案内のページが全く無いか、あっても目立たないところに配置されているため、サービスを提供しているホームページであることが認識できない場合です。
行政書士のホームページでは、たとえば建設業許可の要件や必要な書類の解説ばかり充実していて、取扱業務に関する詳細な情報を掲載する業務案内ページが無いようなケースです。
この場合、そのホームページ全体からは「手引き」や「役所」のような雰囲気が強く感じられるようになりますから、わからないことがあれば電話やメールをして聞いてみよう、質問してみようという心情をホームページ訪問者に抱かせやすくなります。
こういった場合は、何を提供しているのか、取扱業務をメニューとして明確にし、場合によってはその業務案内ページへの誘導を図るなど、なんでも質問センターに陥らないように調整を行ってみてください。
また、ホームページ全体があまりに手引き寄りに作られていると、そもそも検索サイトから訪問する人も行政書士に依頼しようとする層ではなく調べ物をしている層の比率が高まりますから、アクセス数に占める「業務を依頼してくれるかもしれない人」の比率は低くなりやすい傾向はあるでしょう。
さらにいえば、そもそも行政書士事務所でホームページを開設する場合、最終的な目標は業務受任を増やすことではないでしょうか。そうであるなら、業務案内ページを拡充していかないことには、WEBからの受任につなげることは難しいです。
質問の電話やメールばかりで依頼につながらないというケースでは、意外とこの「業務案内ページの欠如」「業務案内ページの不足」が原因となることが多いです。(もちろん、逆に全てのページで営業活動を行う「押し売り型」でホームページを作ってしまうのも、別の理由から依頼には繋がりにくくなってしまうので要注意です)
3.大手事務所の雰囲気を出している場合
第三に、洗練されたデザインやページ上の挙動などで大手事務所の雰囲気が感じられたり、人が大勢集まっているような写真を使うことでスタッフの多い事務所の雰囲気が感じられるホームページを公開・運用している場合です。
本当に大きな事務所で、ちょっとした質問でも無いよりはあるほうが全体として受任件数が上がるという状況ならよいのですが、多くの行政書士事務所は1人または小人数で運営しているところも多いはずです。そこにホームページだけ大手感を出しても、結果としてホームページ訪問者に「大きそうな事務所だから質問しても迷惑ではないだろう」「電話・メール担当のスタッフが対応してくれるのだろう」というイメージを抱かせてしまい、質問の電話やメールばかり増えてしまう結果につながってしまいます。
大手事務所の雰囲気が濃厚なホームページであるにもかかわらず、実際は独り行政書士事務所という場合は、その間の齟齬を埋めるように調整を入れていくことで、質問ばかりといった状況を改善できる可能性があります。
4.自分から質問の電話・メールに誘導している場合
第四に、これが実は一番多い可能性もある要因なのですが、ホームページで自ら質問の電話やメールへ誘導している場合です。
「どんな些細なことでも、まずはお電話ください」とか「お電話・メールでの相談は無料、お気軽にご相談ください!」といった記載がなされていれば、ホームページの訪問者が電話・メールで質問してくるのは当然です。
自らホームページに記載しているのに、質問の電話がかかってくると「なんだ、単なる質問じゃないか」と不満を露わにする行政書士さんもいらっしゃいますが……それ、自分で種をまいてますよね?
電話やメールフォームの直前に「どんなお困りごとでもお気軽に」といった記載を置いているなら、たとえば「業務のご依頼に関するお問い合わせ」といった文言に変えるなどして、間口の調整を行ってみてください。