現在ウェブ上には、行政書士事務所の運営にも活用できる便利なサービスが数多く公開・提供されています。個人向け、法人向けの様々なサービスがあるため、どのサービスやツールが適しているかは、事務所の規模や運営方針によって異なりますが、ここでは代表的なものを紹介してみます。
データ管理については『行政書士のデータ管理』でも紹介していますので、こちらの記事も参考になるかもしれません。
なお、2020年7月時点での情報ですので、その点をご了承ください。
ストレージ
クラウド上にデータを置くオンラインストレージサービスを利用することで、複数のPCやスマホから同じデータにアクセスできるようになります。また、データのバックアップにもなるため、セキュリティ上のリスク対策は必要になりますが、行政書士事務所の運営に組み込むと非常に便利です。
これはストレージに限らずすべてのサービスに共通することですが、行政書士として業務に利用するときは、簡易すぎるパスワードを利用しない、二段階認証を設定する、など最低限の対策は講じておきましょう。
ストレージに限っては、バックアップ用途としてのストレージをどこにもバックアップしていなかったことによって、ストレージのデータがおかしくなってしまったとき、復旧できず業務に支障をきたすケースもあります。
顧客管理・案件管理(CRA、SFA)
顧客管理、案件管理、売上管理に使えるサービスは、ある程度案件が増えてきた行政書士事務所では、情報の管理に非常に役立ちます。
顧客管理・案件管理のシステムは、顧客や案件が増えてから試すと色々と手間も増えるので、まだこういったサービスを利用する必要性の低い、早い段階で比較検討しておくとスムーズな導入が可能です。
コミュニケーションツール
所内や行政書士同士、他士業とのやり取りには、メールより手軽なチャットツールが便利です。最近ではオンライン会議も一般的になってきたので、ビデオチャットツールも利用機会が増えてきています。
チャットツール
ビデオチャットツール
チャットツール、メッセージツールやビデオ会議ツールは非常に便利ですが、顧客ごとに異なるツールの利用を希望されることもあります。そのため、何の案件がどのツールで進行中なのか、全体の進捗を管理しておかないと、案件が滞ってしまう(一部の処理を失念してしまう)危険もあるので要注意です。
クレジット決済代行
行政書士事務所でクレジット決済を導入する際には、実費分にかかる決済手数料や、請求書の管理をどうするかという問題が生じます。しかし業務によっては顧客からのニーズも高いので、ここ数年で導入する行政書士事務所もかなり増えてきています。
業務フローが固まってしまうと新たな決済手段・請求方法への対応が難しくなります。また初期費用や月額料金が不要のサービスもありますから、こちらも早い段階でいくつか試して使いやすいものを導入しておくとよいでしょう。
電話秘書サービス
外出時や打ち合わせ中の問い合わせを取りこぼす可能性を減らしたり、営業電話対策になったりと、行政書士事務所と電話秘書サービスは比較的相性が良いです。
電話の初期対応を自分でしたいという場合には利用しにくいですが、問い合わせ対応に課題を感じている行政書士は導入を検討してみてもいいかもしれません。
クラウド会計
行政書士の中には経理作業が苦痛という方が比較的多いですが、クラウド会計ソフトは、インターネットバンキングと連動して簡単に帳簿を作成できる機能があって便利です。
ただ、これまでの会計ソフトに慣れている人にとっては操作がしにくいと感じるかもしれません。そういう方には、どちらかと言えばMoney Forwardの方が使いやすいと思います。
また、税理士によっては対応してないケースもありますので、行政書士事務所として顧問税理士を選ぶときには、クラウド会計に対応している事務所を選ぶ(または顧問税理士に対応するシステムを聞いてから選ぶ)ようにしましょう。
登記事項証明書の取得や確認
行政書士業務では、手続きを進める際に登記事項証明書の取得・添付が必要になるものが多くあります。
事務所最寄りの法務局・出張所で取得するのが一般的ですが、事務所の立地、手続きの内容や進捗状況によっては、オンラインで請求するほうが業務効率化に資することもあります。
ホームページを営業手段と位置付け、ウェブから直接の受任を企図するのであれば、電話やメールで相談の入った段階で商業登記の情報を確認して、正確な所在地や役員構成を確認した上で初回相談に臨むのも有効です。
特に許認可業務を主力とする場合、行政庁に登録されている内容と現在の会社情報に齟齬が無いか確認することは、申請手続きの大前提となります。
初回相談で齟齬や不備についてアドバイスができれば、初顔合わせの段階でクライアントから信頼を得た上で、打ち合わせを進めることができます。