行政書士がホームページを作るとき、「このホームページが集客できているらしいので、同じような感じで作りたい」と考える人も多いのですが、本当にそれは集客への近道なのでしょうか。
真似するのは遠回りになることが多い
もちろんデザインやキャッチコピーを丸パクリするというのは、集客以前の問題でNGです(コピペで他人の文章を持って行くのもダメです)が、サイトの構造や方向性を真似たとしても、集客にはそれほど繋がらないことが多いです。
その主な理由は以下のものです。
- 行政書士事務所としての強みなどが違う
- 同じ方向性で追い抜くのは大変
- サイト開設時点の環境の違い
- 本当に集客できているのかわからない
ここからは個別にもう少し詳しくお話します。
行政書士としての強みの違い
ホームページを作る際、他で既に公開されている行政書士事務所のホームページを真似たとしても、自身の事務所とは、強み、ブランディング、バックボーンなどが必ず異なります。よって、店構えと中身に齟齬が生じることになります。
既にウェブ集客を行っている方なら分かっていただけると思いますが、問い合わせが入った際に相手にこのような違和感を感じさせてしまうと、なかなか受任に繋がらない要因として働きやすいです。
同じ方向性で追い抜くのは大変
既に公開されている行政書士のホームページと同じ方向性で作るということは、特に検索エンジンとの関係では、最低限コンテンツの質と量で先行サイトを超えていかなければならないということを意味します。
似たコンテンツ同士で競合する場合には、先に作られたホームページがGoogleなどの検索エンジンにはオリジナルのものと判断されやすいと言われています。
しかし、先行サイトと同じ道を走って追い抜くには、大変な労力と時間がかかるので、「似たようなホームページを作って中途半端に放置」という状況につながりやすくなります。
この点、ホームページを作る段階では「競合するサイトを質・量で抜かなければならないのは当然です。そのつもりです。」と意気込みの強い方も多いですが、実際にホームページが出来上がって更新を始めると、記事追加の大変さに競合の1/10にも至らない段階で挫折してしまうケースが多いです。「自分で考えて記事を書くのは大変」ということは、制作段階から十分認識しておくほうがよいでしょう。
サイト開設時点の環境の違い
行政書士同士の会話で「集客できている」と話題に上がるようなホームページは、最近できたばかりというよりも、ある程度の年数運営されているようなホームページが多いはずです。
であれば、そのホームページが開設された時点では有効とされていた手法が、現在はあまり有効ではないという状況は十分考えられます。
ウェブデザインもここ数年で随分とトレンドが変わっていますので、何年も前に作られたホームページを参考にして作ってしまうと、「スマホで閲覧しにくい」「昔っぽい外観のホームページになってしまう」「構造が古い」など、違和感を生じさせるホームページになる危険があります。
本当に集客できているのかわからない
そもそも、真似ようとするホームページは本当に集客できているのでしょうか。
集客できていたとしても、その要因が、検索エンジンからの流入なのか、広告からの流入なのか、紹介時のパンフレット的な役割なのか等によって、外見だけを真似して何らかの意味があるのかが大きく異なってきます。
ホームページ開設からのアクセス解析や実施した施策などのデータ、受任件数をその事務所から開示してもらえるならまだしも、集客できているのか、集客できていてもどのような構造で集客に至っているのかが不透明な状態で、やみくもに見た目だけを真似てもあまり意味はありません。
「この事務所は間違いなく集客できている」との強い印象から、その事務所のホームページにできるだけ似せて作ろうと思われる方も多いですが、その集客はホームページを似せればすぐ簡単に得られるものではありません。
道具が同じでも効果が全く異なるのは、スポーツや芸術でも同じです。上手い人の道具を無理に真似て使うよりも、自分の状況やスキルに見合った道具を吟味して活用していくことが、結局は近道ではないでしょうか。
競合サイトの分析は大切
先行するホームページを真似をしても集客に繋げることは難しいとは言え、行政書士がホームページを開設するときに競合サイトを分析しておくことは大切です。
競合サイトの強い部分、弱い部分などをしっかりと分析して、どの部分で戦うかというのは、ホームページを開設する時点である程度決めておかないと、あとから簡単には修正できないことも多いです。
大事なのはホームページを「真似る」ことではなく、どんなホームページなら効果を発揮するのかを「考える」ことです。
自身の行政書士事務所の経営方針などをベースに、どう競合サイトと差別化していくのか、ホームページを作るときにはしっかりと検討しておきましょう。