Q. 行政書士業界未経験で登録をした新人行政書士です。所属支部が一緒の先輩行政書士より、「案件を手伝って欲しい」と言われました。報酬は最低賃金レベルなので、どうすべきか悩んでいます。
A. そのような声がかかるだけでも有難いことだと思われた方がよいと思います。最初は報酬が安価であっても、実務経験を積むことが自身の行政書士キャリアを構築する上でとても大切なことだと思います。
行政書士業務未経験で即独開業を目指す新人行政書士にとって、最初は安価であっても実務経験を積むことが最も重要です。即独行政書士は、行政書士事務所に勤務するのではなく、最初から独立して業務を行うため、自分で仕事を見つけ、実務をこなしていく必要があります。
そのため、経験を積みながら自己の価値を高める方法をしっかりと考えることが大切です。今回は、即独行政書士が最初に安価で手伝うべき理由、そして実績を積んだ後のキャリアアップについて具体的な例を交えて説明します。
最初は安価でも、経験が自分の価値を高める
即独行政書士として、最初は報酬が低くても、その仕事を通じて実務経験を積むことが最も重要です。行政書士の業務は、書類作成だけでなく、お客様とのコミュニケーション、行政機関とのやり取りも重要です。最初は安価な報酬でも、その後のステップアップを見据えて経験を積むことが必要です。
経験を増やし、実績を積み上げていけば、当然その分報酬も上がるべきです。即独行政書士として開業したばかりの頃は、自分のスキルに見合った報酬を得ることは難しいかもしれませんが、業務をこなしていくうちにスキルが向上し、次第に報酬も上がっていきます。
例えば、Aさんという即独行政書士は、最初に知人の紹介で小さな案件を安価で引き受けました。最初の仕事は、申請書類の作成でしたが、それを通じて実務経験を積みました。最初は報酬が少なかったものの、仕事を重ねるうちに先輩行政書士から任せていただける仕事が広がりました。その結果、次の仕事は少し高めの報酬が提示されました。
高い報酬を提示しない先輩や事務所とは縁を切るべき
実績が積み上がり、スキルが向上してきた段階で、もし依然として低い報酬しか提示されない先輩行政書士とのお付き合いは、それは自分の成長にとって不利な環境かもしれません。特に即独行政書士の場合、仕事を選んでいかなければ、報酬が見合わない案件に縛られてしまう可能性があります。
残念なことに、先輩行政書士の中には後輩行政書士のことを、安価な労働力とみている人もいます。そのような方とのお付き合いは注意が必要です。
例えば、Bさんは、最初に安価で経験を積んだものの、次第に自分のスキルに見合った報酬を求めて、別の先輩行政書士と一緒に仕事をすることを決断をしました。今では、自己のブランドを築き、専門分野を確立することで、自身のお客様からの相談や依頼にも自信をもって対応できるようになりました。そして、業務のことで悩んだら、その先輩行政書士に相談することもできるので、案件進行の心理的な負担も減っています。
お客様や行政機関との打ち合わせに同席することの重要性
書類作成だけではなく、お客様や行政機関との打ち合わせに同席できることは、即独行政書士としての成長に非常に重要です。打ち合わせに参加することで、現場での問題解決能力を高め、お客様や行政機関との信頼関係を構築する方法を学ぶことができます。
例えば、Cさんは、最初は書類作成を担当していましたが、ある日、お客様との打ち合わせに同席させてもらえることになりました。そこで、お客様の悩みや相談を直接聞き、問題解決の方法やコミュニケーションのコツを学びました。これにより、一人での打ち合わせの際にも自信を持って参加できるようになり、お客様からの信頼が深まりました。
自分の価値を高めるための実践方法
経験がなくても、自分の価値を高めるために積極的に取り組むべきことがあります。
①学び続ける姿勢を持つ
行政書士の仕事は、法律や規制が常に変わる分野です。最新の情報や業界の動向について学び続けることが不可欠です。
②ネットワーキングを強化する
他の行政書士はもちろんですが、他士業の先生方、自身が専門とする分野があるならば、その業界関係者とのネットワーキングを行い、自分の存在を認知してもらいましょう。自身が専門とする分野のセミナーや勉強会にも積極的に参加しましょう。
即独行政書士として最初は安価で経験を積むことが求められることがありますが、それはあくまで最初のステップに過ぎません。実績を積み、スキルが向上した段階では、相応の報酬を得るべきです。もしその報酬が提示されない環境であれば、新たな環境に移ることも一つの選択肢となります。自分の成長に見合った報酬を得ることが、より良いキャリアへと繋がるのです。