『急成長を実現する!士業の営業戦略』
出版社:日本法令
著者:五味田匡功 / 石下貴大
本書は、「営業」「商品構成」「販売促進」を中心に、従前から積極的かつ多様な戦略を展開してきた著者らが、何を実行し、どのような成果をあげ、今後どのように事業を展開すべきと考えているのかを解説するものです。DX時代の士業事務所にあるべき戦略&実践ノウハウを余すことなく伝授!士業というビジネスモデルにおける事業経営に役立つ1冊。
https://www.horei.co.jp/iec/products/view/2356.html
阪本コメント
新型コロナウイルスは、士業の営業戦略にも大きな影響を与えました。アナログ営業がしにくくなりましたが、営業の基本である、何かあったときに「1番に思い出してもらう存在になる」というのは不変のセオリーです。
士業は勉強好きの方が多いため、知識を身に付けることを得意とする方が多いのですが、どんなに立派な知識を身に付けてもそれを披露する場がないとビジネスとしては成立しないのは言わずものがな。
本著では、アナログ営業とデジタル営業の夫々のセールスリードの特徴やその作り方のTIPS(コツ)が具体的に記されています。士業の営業戦略も、一発で成功することは稀で、失敗を重ねながら戦略に修正を加えながら勝ちパターンを見つけていくものです。
最初の一歩を踏み出すときの羅針盤となる一冊と言えるでしょう。
泉谷コメント
本書はタイトルの通り、マーケティングというよりも営業についての話が中心になっていますが、実際に士業事務所を経営していく中で多くの経営者が直面する問題に広く触れているという印象を受けました。
中でも興味深かったのは、属人化の問題について触れた2-7および2-8です。
行政書士の世界でも、プレイヤーとして優秀な行政書士ほど、属人化した業務と人材育成の問題に苦心しているように見えます。
この点について本書では、”意識が高い・低い、仕事ができる・できない”は”「チェック項目の数と精度」に違いがある”と規定し、その解決方法としてチェックリストを作ることが効果的としています。
業務の質を「チェック項目の数と精度」として捉えるというのは、なるほどと思いました。
そうは言っても、優秀な職人タイプの人ほど言語化が難しい、場合によっては自覚すらしていない膨大なチェックリストを抱えているようにも見えるので、それを実用的なチェックリストに落とし込むには試行錯誤が必要になるでしょう。
本書には、開業前の人からベテランまで、幅広い人にとって士業事務所経営を考える上でのヒントが散りばめられていますので、一読の価値はあるのではないでしょうか。
岩本コメント
「名刺を作った、ホームページを作った、でも営業って何をすればよいのか分からない」「どちらに一歩を踏み出せばよいのか分からない」という、これから事務所の運営を軌道に乗せていこうとする行政書士さんにとって、一つの指針になる本です。
本書で触れられている話題のうち、特にセミナーは、行政書士という職業との相性が非常に良好であるにもかかわらず、尻込みしてなかなか活用できない行政書士さんも多いように見受けられます。
ITツールの進歩のスピードは大変速く、日々新しい機能やツールが生み出されています。これらを活用できるかが、これまで以上に大きな差につながるでしょう。
P179
コロナ禍もあって状況は激変しており、よく言われるように今後数年かけて現れるはずの変化が、数ヶ月単位で一気に押し寄せた感もあります。変化に対して柔軟に対応していくのは大変ですが、逆に言えば大きな変化はそれまでの流れをリセットする効果を合わせ持つため、新たに切り込んでいくタイミングでもあります。
感覚という言葉がありますが、営業については感覚に頼って実行している方が多い気がします。
P136
「なんとなく」の感覚に頼って手探りで営業している行政書士さんにとっては、いま一度、立ち止まって自分の考えや方法を再検討する機会を与えてくれるのではないでしょうか。