Q. 許認可申請業務を主力業務としている行政書士です。お客様からの最初の問合せの段階で手続き費用の見積を求められることがありますが、お客様の状況がまったくわからないため、どのように対応してよいか悩んでいます。
A. お客様の状況やご意向がわからないまま手続き費用をご案内するのは難しいですが、手続き費用は、お客様にとっては重要な要素であり、行政書士はそれを無視することはできません。そこで、最初のお問合せの段階では概算費用をお伝えし、面談を通じて詳細なヒアリングを行わせて頂ければ、手続き費用をご案内することが可能であるとお伝えするのがよいでしょう。
お客様からの初回問合せに対する対応の重要性
行政書士として業務を行っていると、初回のお問い合わせで「手続き費用がいくらかかるのか?」と質問されることがよくあります。費用はお客様にとって重要な要素であり、その見積もりを求められるのは当然のことです。
しかし、最初の問合せの段階では、必要な情報が揃っておらず、正確な見積もりを出すのは難しいのが現実です。
このような場合、行政書士はお客様の期待に応えたいという気持ちと、正確な情報に基づいた見積もりを提供したいという職業的な責任との間でジレンマを感じることが多いでしょう。
ここでは、初回のお問い合わせで費用の見積もりを求められた際の対応方法について、効果的なステップをご紹介します。
1. 概算費用を提示する
最初に、お客様に対して「概算費用」をお伝えすることが一般的です。
この段階では、正確な金額を提示するのは難しいことをあらかじめ理解していただく必要があります。
あくまで目安としての金額を伝えることで、お客様に安心感を与えると同時に、詳細な見積もりを行うための次のステップに進むことができます。
具体的には、過去の類似案件や標準的な手続きに基づいて、おおよその費用範囲を示します。
例えば、「通常のケースでは○○万円から○○万円程度ですが、詳細な内容に応じて変動します」といった形でお伝えすることで、初期の不安を解消しつつ、具体的なヒアリングの必要性を示すことができます。
2.見積もりに必要な情報の重要性を説明する
次に、正確な見積もりを出すためには、より詳しい情報が必要であることをお客様に説明します。
ここでは、以下の点を強調することが大切です。
①ビジネスモデルや具体的な状況の把握が不可欠であること
事業の内容や規模、目的に応じて、手続きに必要な書類や許認可の種類が異なるため、具体的なヒアリングが必要です。
②許認可の要件が案件ごとに異なるため、これに応じた対応が必要であること
特に、許可要件に不動産の立地や施設設備の要件が関係する場合や複雑な手続きが絡む案件では、法的要件を満たすための行政機関や関係者との調整などの追加作業が発生することがあります。
③面談を通じて詳細なヒアリングを行わなければ、見積もりが正確にならないこと
電話やメールだけでは把握しきれない情報を確認し、最適なサポートを提供するために、直接の対話が不可欠です。
これらの3点説明することで、お客様がなぜ面談が必要なのかを理解し、協力的な姿勢をとってもらいやすくなります。
3.面談を提案する
お客様の状況を詳しく把握するために、「お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適なサポートを提供するため、まずは面談にてお話をお聞かせください」と提案します。
面談の場では、具体的な要件やお客様のご意向を伺いながら、詳細な見積もりを出すことができます。
この提案を通じて、お客様に対してプロフェッショナルなアプローチを示し、信頼感を醸成します。
また、面談を通じて得られる情報に基づいて、より適切で正確な見積もりを提供することが可能になります。
4.信頼関係の構築を目指す
初回の問い合わせ時には、特に信頼関係の構築が重要です。お客様が安心して依頼できるよう、プロフェッショナルな姿勢で対応し、適切な情報を提供することが求められます。
そこで、ホームページ上で情報提供をすることが重要になるのです。
ホームページ上でお客様が知りたい情報を提供することで、それを読まれたお客様に「この行政書士は専門家だ」と認識していただけます。
お客様と行政書士の間に信頼関係が構築され「この行政書士にお願いしたい」と考えている状態から問い合わせがはじまるため、とんとん拍子で面談や契約へと進むことが増えます。
逆に、ホームページや面談で信頼関係が築けない場合は、他の行政書士に依頼されてしまう可能性もあります。
そのため、初回の対応でどれだけお客様に安心感を与えられるかが重要です。
まとめ
初回の問合せ段階では、以下のスクリプトで対応するのがよいでしょう。
「通常のケースでは○○万円から○○万円程度ですが、詳細な内容に応じて変動します」
「許認可手続きにはお客様一人ひとりの状況や案件の複雑さが大きく関わってきます。例えば、必要な書類の種類や、場合によっては関係機関との調整が必要な場合もあります。そのため、正確な見積もりをお出しするためには、まずはお話をお伺いし、お客様の状況を詳細に把握させていただく必要があります。正式な見積もりは面談後にご提示させていただきます。お客様一人ひとりに最適なサポートを提供するためにも、まずは面談にてお話をお聞かせください。」
まずは、概算費用を提示し、見積もりに必要な情報の重要性を説明することが大切です。面談を提案し、信頼関係を築くことで、お客様に納得していただき、最適なサポートを提供できる環境を整えましょう。