Q.これからホームページを作ろうと考えている行政書士です。行政書士がホームページを作るときにやりがちな失敗を教えてください。
A. 「ホームページに取り組んだけれど上手くいかなかった」という人の多くは、いくつかのパターンに分類できますので、主なものを紹介します。
ホームページで失敗したという行政書士は多いのですが、失敗のポイントはホームページ制作時から運用まで幅広く存在しています。特に意識せずにこれらをクリアしている人も中にはいるのですが、何も考えずに取り組むと、どこかで引っかかってしまうことが多いです。
とはいえ一度失敗したとしても、また取り組めばいいという面もありますので、資金が尽きない範囲で試行錯誤することも大事です。
ホームページの目的と仕様のミスマッチ
いざホームページを作ったとしても、自分の考えていたホームページの目的と、ホームページの仕様が噛み合っていないと、思うような結果がでず失敗してしまいます。
実はホームページを作成するときに、「とりあえずホームページくらいは作らなきゃ」といった感じで目的がふわっとしてるケースは意外と多いです。
行政書士のホームページは、目的によって、
- 名刺やパンフレットの延長のようなコーポレートサイト型
- WEBから直接に依頼につなげるための業務特化型
の2つに大きく分けることができるのですが、この2つの目的を意識せずにホームページを作ってしまうと、失敗してしまう可能性がかなり高くります。
例えば、コーポレート型のホームページを作ったとします。(目的がはっきりしていない場合には、多くのケースではコーポレートサイト型を作ることになります)
コーポレート型のホームページは、基本的にはWEBから直接依頼につなげるのには向いてないため、「ホームページから集客したい」と思っていた場合には、目的を達成するのは困難になってしまいます。
ホームページを作ろうと思ったときには、自分がどのような目的でホームページを作りたいのかをしっかりと検討するようにしましょう。
ホームページ制作業者選びの失敗
「いまどきホームページくらい持ってないと!SEO対策もバッチリなんで集客できますよ!分割払いで月々の支払い◯万円なんで、1件仕事取れたら元取れますよ!1地域につきひとつの行政書士事務所様だけなんですぐ契約しないと埋まっちゃいますよ!」
こんな営業文句に負けてホームページ制作業者に依頼したものの、
- まったく成果が出ず
- 記事追加やちょっとした変更をしようとするたびに費用がかかり
- 解約しようとすると残金を一括で請求され
- 挙げ句ホームページのデータも引き上げられてしまう
これは典型的な行政書士がホームページで失敗するパターンです。
これを避けるためには、
- 電話や飛び込み営業を受けても即決せず一度寝かせる
- 契約内容をよく確認する(費用が発生する作業、解約時の支払い、解約後のホームページの帰属など)
- 自分で記事が追加、修正できるようになっているかどうか
- 行政書士を満足させるホームページではなく、ホームページ訪問者を満足させるホームページ作りを提案してくれるかどうか
といった点に注意してホームページ制作業者を選ぶと良いです。
自分で作ってみるのもおすすめ
もし可能であれば、まずは自分で一度作って取り組んでみるのもおすすめです。
そのまま自力で上手くホームページから業務を受任できるようになるのであれば、それに越したことはないですし、その後ウェブ制作業者に外注するときにも、ある程度ホームページの知識を持っていることは大きな利点になります。
なお、自分でホームページを作るときには、独自ドメインを使うようにすることを強くおすすめします。
記事追加が継続できない
シンプルですが、これはとても多い失敗パターンです。
ホームページを作り「さあ記事をどんどん追加するぞ」と意気込んで記事を追加しはじめたものの、数記事書いて息切れしてしまうということは本当に多いです。
SNSでは「とりあえず100記事書け」といった声もありますが、はじめから息切れせずに一定のペースで高品質な記事を100記事書ける人はかなり稀です。
とは言え結果を出すためには書き続けるしかないのですが……。
また、最近では集客に繋がるようなキーワードで検索上位になるまでの時間も長くなる傾向にあって、それこそ100記事書いたとしても、分野によっては検索結果の1ページ目にすら上がってこないケースすらザラにあります。
また、非常にもったいないケースとして、かなり頑張って記事を書き、ようやくアクセス解析上で浮上の兆候が出てきたタイミングで、「こんなに頑張って記事を追加したのに全然結果が出ない」と心折れて更新をやめてしまうということも少なくありません。
これら継続的な記事追加や記事のリライトの悩みは、検索エンジンからのホームページ集客に取り組む人は全員が苦労していると言ってよいくらい定番の悩みです。
それだけに特効薬のような対処法はないのですが、とくかくコツコツ淡々と記事を追加し続けられる人が、最終的には結果を出しています。
そのため、
- 決まった時間に記事を書くと決めて、スケジュールを確保しておく
- 移動中などに記事のテーマや構成などを考えてメモしておき、すぐに記事を書きはじめられるような準備を常にしておく
- 記事テーマによっては(専門性があまり高くないものなど)ライターに記事作成を依頼する
など、継続的に記事を書き続けられるような工夫をしていくしかありません。
広告に頼る手も
このように検索エンジンからのアクセスを得て業務の依頼を得る手法は労力が非常かかるため(その分メリットも様々ありますが)、検索流入はあまり期待せず、広告中心で運用している事務所もあります。
ただしキーワードによってはかなり費用がかかる点が最大の難点です。
敷居の下げすぎ
これはある程度アクセス数が伸びてきてから生じる悩みで、とにかく問い合わせが欲しい一心で、ホームページの随所に、
- 無料相談受付中
- ささいなことでもご相談ください
- まずはお問い合わせ
- お困りごと何でもご相談ください
といった、問い合わせの敷居を下げるための文言をひたすら散りばめたことによって、依頼につながらない問い合わせの比率が非常に大きくなってしまうという現象です。
はじめのうちは問い合わせ対応をすることで、業務知識の補充ができたり、ホームページの記事のネタを見つけられたり、対応の制度を上げることなどができたりとメリットもあります。
とは言えこの状況が続いてしまうと、売上につながらない問い合わせ対応が負担になってきてしまいます。
こういった状況に陥ってホームページ集客を諦め、「ホームページからまともな仕事なんてこないよ」と考えるようになってしまう人もいるようです。
ですが、こういった文言を柔軟に変更できることもホームページの利点です。
例えば、
- 無料相談→有料相談
- 何でもご相談ください→依頼をご希望の際にはご相談ください
のように文言を修正して数ヶ月様子を見ながら、依頼につながる問い合わせまで減りすぎてしまうようなら再調整するというように、状況を見ながらホームページ上の様々な要素の修正を繰り返すことで、自分の望む問い合わせ内容に近づけていくことが可能です。
まとめ
失敗をまとめてしまったのでネガティブな話が多くなってしまいましたが、ホームページをしっかりと育てることができれば、行政書士事務所経営上とても強い武器になります。
もちろん一朝一夕で成果が出るものではありませんが、継続してコツコツ取り組めば、かなりの確率で成果が上がる手法でもあります(何でもそうかもしれませんが)。
いきなり制作を外注して多額の広告費を突っ込むなどしなければそれほど予算も必要ありませんので、まずは失敗を恐れすぎず、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。