『その仕事、全部やめてみよう – 1%の本質をつかむ「シンプルな考え方」』
出版社:ダイヤモンド社
著者:小野和俊
「プログラマー×ITベンチャー社長×大企業CTO」が語る「超」効率的な仕事の進め方・考え方とは? 入山章栄(早稲田大学ビジネススクール教授)、鈴木健(スマートニュース創業者・CEO)、推薦! 仕事の「無駄」を排除し、生産性を劇的にあげる方法・考え方を紹介!
https://www.diamond.co.jp/book/9784478108598.html
阪本コメント
組織化を目指したり、組織化中だがどうもうまく機能しないという行政書士さんには、本書後半の第4章「To Stopリストをいますぐ作る」や第5章「職場は猛獣園である」は行政書士事務所の組織化のヒントが言及されていると感じました。
私の場合は特に(数年前よりかは症状はだいぶ良くなりましたが)「俺がやった方が早い病」の症状が時折出てくるのですが、その時の対処法が3つ紹介されているのは、興味深かったです。
では、本書がこれから行政書士事務所開業予定の方にとって読む価値がない本かというと、そういうわけではありません。ことさら実務経験がない状態で開業される行政書士さんにとっての営業活動のヒントが書かれています。
DCAPは「未知の領域」や「変化していく領域」で強みを発揮してする。まず実行することで、机上の知識ではなく経験として、未知のものや変わりゆくものの「手触り」がわかる。未経験のものに対しては、知識ではなく、経験を通じて学ぶほうが圧倒的に多くの情報を得られる。
P69
本書では、PDCAではなくDCPAで動くべき領域について言及されていますが、実務経験未経験の行政書士さんが営業活動をする際は、DCPAを意識するのが良いでしょう。私の周りで実務経験未経験でも成功されている行政書士さんは、DCPAのマインドで動かれています。
泉谷コメント
本書は個人的に膝を打つ点が多く、どのようにコメントをつけるか迷ったのですが、中でも個人~数人規模が多数を占める行政書士事務所にも応用が効きそうな話として、3章で紹介されている「ラストマン戦略」は興味深いと感じました。
「ラストマン戦略」とは、グループ内で自分が一番になれそうな領域を決め、「あの人がわからないなら、誰に聞いてもわからないよね」という、いわば最後の砦とも言うべきスペシャリストを目指す成長戦略だ。
P.106
これは専門特化して事業を成長させようとすることの多い行政書士事務所の経営にも親和性が高い発想ではないでしょうか。
他にも「なるほど」と感じる視点が多く紹介されているので、一読の価値がある一冊だと思います。
岩本コメント
当たり前と思っていることも、立ち止まってよく考えてみれば当たり前ではないこともあります。
それは必要なことなのか、本来不要なことなのか。無駄を省けば、そのぶん有意義なことに時間を費やすことができるのではないか。
場面と時期に応じた様々な「シンプルな考え方」を紹介している本です。
チーム(多人数)で仕事を進めていくとき参考になる話題が多いですが、一人で事務所を運営している行政書士の方でも、普段あまり意識しない問題点が浮き彫りになることで、仕事のサイクル改善に役立ちそうです。
パソコンのスペックがあまりよくなく、待ち時間が頻繁に発生してはいないだろうか。「待ち時間×待った回数分」で考えれば、かなりのロスだ。すぐにパソコンを新調しよう。
P148
私は仕事柄、士業事務所さんにお邪魔する機会が多いのですが、処理の遅いパソコンや画面の狭いノートPCで作業をしている士業さん(および士業事務所のスタッフさん)が非常に多い印象を持っています。小さな時間の積み重ねは1年、10年と積み重なることで相当大きな違いになります。PC周辺環境は事務所経営の改善候補として、優先順位を上げて取り組んでみては。