『「農地転用の手続」何をするかがわかる本』
出版社:セルバ出版
著者:若子昭一
不動産売買や建築等をする土地が農地で、転用の届出が必要というとき、どんな手続が必要なのか? 農地の転用についての基礎知識から、手続に向けての相談の仕方、手続の方法と流れまでをわかりやすく解説する。
〇不動産売買や建築等をする土地が農地で、転用の届出が必要というとき、どんな手続が必要なのか悩む。
https://seluba.co.jp/pid158638089/
〇本書は、農地の転用についての基礎知識から、手続に向けての相談の仕方、そして手続の方法と流れをわかりやすく解説。
〇農地の自由な利用を制限している「農地法」。
〇でも、なぜこのような制限があるのかを理解し、周囲の環境と調和しながら、転用をできる土地を選べば、転用は決して難しいものではない。
〇本書を足掛かりとして、転用の手続をスムーズに進め、大切な土地の有効活用につなげていただきたい。
阪本コメント
2021年は私の行政書士業界10周年イヤーですが、実はこれまで、農地転用手続きは一度も受任したことがありません。これは私の主戦場が東京・神奈川であったのが大きく影響していると思いますが、今後も農地転用手続きは受任することはないのではないでしょうか。
とはいえ、運送業の許認可申請や倉庫業の登録申請の際に農地・非農地が論点になることが稀にあり、周辺業務知識として整理しておきたいと考えておりました。
現在、相談を受けている運送業の営業所新設申請手続きは、車庫候補地の不動産登記簿上の地目が農地になっているるため、農地転用手続きの有無を調査しているところでした。
丁度よいタイミングで本書を読む機会に恵まれたのですが(ありがとうございます)、本書では、農地転用手続きの基礎知識、地目変更までの流れ、農地委員会に提出書類の書き方や必要書類など、農地委員会が作成した手引きには記載されていないが、円滑な手続き進行の際のノウハウが本書に紹介されており、実務本としての完成度が非常に高いです。
また、読者の農地転用手続きの関与するレベルにあわせて、読むべき分量を調整できる構成になっているのも高評価です。
泉谷コメント
行政書士を開業する前にはわからなかったことですが、農地転用手続きは意外と相談を受けることも多く、また「行政書士の業務」としての認知度も高いです。
そういった意味でも、農地転用手続きは行政書士として取り組む価値のある業務のひとつだと思います。
本書は、そんな農地転用手続きについて、手続きだけでなく、その周辺知識まで解説されていますし、農地転用手続きへの入門から実際の業務まで活用できる書籍と言えるのではないでしょうか。
また、本書を読んで農地転用手続きを適正に行うためには、都市計画法など様々な周辺知識が必要になってくるということに改めて気付かされましたが、それらの知識は他の許認可手続きにも役立つものですので、他の許認可手続きを主に取り扱っている行政書士が読んでも非常に有益だと感じました。
岩本コメント
東京23区などの都市部に行政書士事務所を構える場合は相談件数的にそれほど多くありませんが、それでも倉庫や物流系の許認可の依頼と合わせて(あるいはその前提として)確認・検討する機会があるのが地目・農地転用の問題です。
農地法や都市計画法、建築基準法が絡んでくる許認可は多く、行政書士の仕事は生活周辺の様々な法的・手続き的な知識が求められるところが大変でありまた面白いところです。
本書ですが、このタイプの書籍としてはイラストや図表が思ったよりも多く使われているので、現地を「目でみてもわからない」農地転用の手続きについて、ページを「目でみて理解しやすい」構成になっています。許認可業務に携わる行政書士さんにとっては、持っていて安心の一冊ではないでしょうか。
話題が書籍から逸れますが、行政書士のホームページ営業では、最終的な許可の前提として立ち現れてくる許可もしっかりフォローできる姿勢を打ち出すことで、受任率を改善できるケースもあります。困っている人は「いま困っていること」を検索する傾向が強いので、前提問題のほうが受任のフックになることも多々あるためです。
農地転用も、まさにそういった前提問題として立ち上がってくることが多い業務の一つですね。