『中小建設業者のための「公共工事」受注の最強ガイド』
出版社:アニモ出版
著者:小林裕門
本書は、建設業界専門の「ガテン系行政書士」を自認する著者が、入札制度のしくみ、経審のメカニズムから、経審の点数の上げ方、経営状況分析のしかた、建設業財務諸表のつくり方など受注を実現するためのノウハウまで、とっておきの極意&テクニックを大公開! 売上10億円未満の中小建設業者の社長や担当者はもちろん、それをサポートする行政書士や税理士にもすぐに役立つ1冊です!
http://www.animo-pub.co.jp/book2021.html#8
阪本コメント
著者である小林裕門先生は、行政書士法人経営者として、実務家として、私がベンチマークとしている行政書士さんのお一人です。
本著は、行政書士が『代書屋』から卒業し、経営参謀になるための知識やマインドセットに触れられる良著であると思います。
これは完全に個人的な意見なのですが、私は『代書屋』という言葉があまり好きではありません。
もちろん、お客様の中には、「行政書士はミスなく書類を作成し、期限内に提出してくれればそれで良い」という思考の方もいらっしゃいますので、代書業自体は否定しません。実際、私も18歳の時に原付免許を取得した際、幕張にある運転免許センターの門前にあった行政書士事務所さんに申請書類の作成を依頼し、助けて頂いたことを今でも覚えています。
とはいえ、行政書士法人を経営している立場としては、代書業では、他の行政書士事務所さんとの差別化が難しく、適正な利益を確保し続けるのは難しいと考えております。そこで、私どもの事務所でもコンサルティングに重きを置いております。
本著は、中小建設業者様向けに執筆されておりますが、行政書士が経審・入札業務を対応するための基礎知識が整理されているのはもちろんですが、習得した知識の活用事例まで、個別具体的に示されております。
代書屋からコンサルタントとしてお客様に価値を提供するための知識の深度や、お客様やそのお客様の関係先(顧問税理士、顧問社労士)へどのように伝えるかの技術について触れられる一冊だと言えるでしょう。
行政書士と税理士と社長がチームになって、公共工事の受注を通して会社に売上と利益を生み出せるようになることが私の考える「あるべき姿」です。
P47
泉谷コメント
本書は単なる公共工事受注の解説書であるにとどまらず、著者の仕事に対する哲学が表現されているように感じました。
一貫して、当たり前のようでいて行政書士がときに忘れてしまいがちな「会社にとって何がベストか」という視点から書かれていて、「行政書士の仕事を通じて建設業者に貢献したい」という強い想いを感じます。
本書は、経審や入札を扱っていない行政書士であっても、良い刺激を受けられる一冊だと思います。
手続きの内容については、業務経験が無い分野なので的確なコメントが出来る自信がないのですが、第3章、第4章をはじめとした内容は、行政書士だけでなく、建設業者を顧問に抱える税理士の方にも非常に役に立つのではないでしょうか。
岩本コメント
確定申告用の決算書を、どう建設業財務諸表に組み替えるべきか、どこに経審に向けた改善点を見いだしていくかというのは、多くの行政書士さんが日々思案する問題ではないでしょうか。
本書は、書類として「正しい」あるいは「誤りではない」経営事項審査や入札参加資格の申請に留まらず、建設業者さんにとっての「より適切な」「目的に沿った」申請ができるためには何をどう気をつけていけばよいのか、指針となり、新たな視点を与えてくれる本です。行政書士として建設業者に何をサポートするか、どこまでサポートするかの判断材料としても参考になります。
経審に関するガイドブックは書類の収集や作成について文量を割くものが多いので、制度本来の趣旨や「依頼者のため」というスタンスに立ち返り、理解しながら経審や入札の制度を学習するのにも向いています。
また、本書はかなり専門的な話題にも踏み込みつつ、全体としてはまだ経営事項審査の手続きに携わったことのない行政書士にも読み進めやすい構成と文章・図表が用意されているため、「経営事項審査の業務に興味がある、いずれは取り扱っていきたい」と考えている行政書士が経審や入札に関するイメージを掴むため、初めて手に取る本としても良い一冊です。
行政書士がどのような付加価値を付けていくべきか、競合する多数の行政書士から一歩抜け出すためには何をするべきか、各所に垣間見える著者の姿勢もまた参考になります。