『建設会社の社長が読む手続きの本』
出版社:パレード
著者:横内賢郎
従業員10名程度もしくはそれ以下の建設会社の社長に向けていますが、建設会社をクライアントにもつ弁護士、司法書士、税理士、社労士といった士業の先生方、さらには、これから建設業関連の業務を行いたいと考えている新人行政書士が読んでも勉強になることでしょう。
https://books.parade.co.jp/category/genre07/978-4-86522-227-2.html
阪本コメント
建設業許可の分野は都道府県が作成して公表している申請手引きは充実していますが、専門用語が多くて読みにくい時があります。本著は、建設会社の支援を専門とされている行政書士さんが平易な文章で書かれており、申請手続きの全体像を把握するには有益です。
また、建設会社の設立手続きから建設業許可申請までの流れ、公共工事入札準備の流れもわかりやすく解説されており、行政機関が作成している申請手引きよりも、建設会社の手続きの全体の流れを理解しやすいと思います。
本著を通読してから申請手引きを読むと、建設業務への理解度が上がると思います。ですので、これから建設業務へ参入される新人行政書士さんや、建設業務を既に取扱われている行政書士事務所さんに入所された新入職員さんに読んで頂きたい一冊です。
泉谷コメント
本書を行政書士が読むということを考えたときに、建設業許可業務の入門書として役立つことはもちろんですが、第8章の『行政書士の選び方/付き合い方』は、特に開業前後の方が事務所の経営方針やマーケティングについて整理するのに役立つ内容になっていると感じました。
一読しただけでは当たり前のことが書かれているだけに感じるかもしれませんが、ここに書かれているような基本的なことをしっかりと踏まえて事業計画をしっかりと検討するというのは、開業前後で地に足のつきにくい時期にはなかなか難しいことのように思います。
本編の建設業許可についても、非常に平易な表現でポイントを絞って記載されています。
行政書士の方が読むと、「もっと手続きについて知りたい」と思うかもしれませんが、手続きについて条文や手引きを参照したり、役所に問い合わせたりして申請するという部分よりも、実は本書にかかれているような手続き前の情報整理の方が横断的に経験を積みにくく役に立つのではないかと個人的には感じました。
これから建設業許可業務に取り組もうと思っている方は、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
岩本コメント
この本は、建設業者さんが事業を軌道に乗せ、拡大していくために必要な様々な手続きについて、時系列に沿ってわかりやすく説明されています。
「まず押さえておくべき基幹となる知識」に絞って、わかりやすく記載されている本は意外と少ないです。
建設会社の社長さんに向けたタイトルですが、建設業許可の申請に携わり始めた行政書士さん、あるいは、これから建設業許可の申請に携わろうと考えている行政書士さんにとっては、建設業者さんに関するいろいろな手続きを短時に確認できるので、業界や業務に対するイメージを具体化しやすいのではないでしょうか。
私は行政書士開業当初、どうにも許認可業務というものが好きになれなくて、また知識も皆無であったことから、その王道である建設業許可に関してはできるかぎり距離を置いていました。が、依頼をいただき一度建設業許可を申請してみると、これが実は相当面白い仕事であることに気づかされました(その後は取扱業務を許認可のみに絞るという、事務所運営の大転換まで図ることに)。
「許可ってよくわからない」「民事法務のほうが身近」と食わず嫌いの行政書士さんがもしいらっしゃれば、それは私のように単なる思い込みかもしれません。この本をはじめの一歩として、まずは踏み込んでみると新しい視野が開ける、かもしれません。