行政書士開業時に、自宅とは別に事務所を借りるべき?

Q行政書士開業予定です。まずは自宅での開業を考えているのですが、事務所は別に借りた方がいいという意見も目にします。結局のところどちらがいいのでしょうか?

A開業資金に余裕があるなら事務所は別に借りた方がいいのではないでしょうか。

社会人経験のある方は、事務所を借りるのが当たり前という感覚があるという方も多いかもしれませんが、行政書士事務所の場合、自宅で開業する人も多いです。

もし開業資金に余裕があり、あまり家賃の高くない条件の良い物件が見つかれば、(特に事業者をメインターゲットにする、いわゆるto Bの事業を考えている場合には)事務所を借りて開業する方が有利ではあると思います。

自宅開業するのも、事務所を借りるのも、どちらにも利点があり、圧倒的にどちらかが優れているというわけではないのですが、主なメリットやデメリットについて以下でまとめてみます。

事務所を借りるメリット

当然ながら事務所を借りると固定費がかかってくるため、売上の乏しい開業当初には金銭面での負担が大きいのが唯一であり最大のデメリットなのですが、自宅とは別に仕事専用のスペースを持てるというのは様々な面でメリットがあります。

副次的な効果ですが、事務所を借りることで「後には引けない」というマインドセットが行われ、行動する量が増えたり、自身が苦手なことにも挑戦するようになる人も多く、結果として行動量が増え、仕事の結果が変わってくることもあります。

さて、ここからは事務所を借りた場合の主なメリットをいくつか紹介してみます。

プライベートな情報を非公開にできる

自宅開業の場合、事務所所在地=自宅住所になりますので、自宅住所が強制的に公開されてしまいます。

名刺やホームページ、そして行政書士が作成した申請書類には、行政書士の氏名や事務所所在地、電話番号などの情報を記載しますし、行政書士として登録されると、日本行政書士連合会のホームページの行政書士会員検索ページでも自宅住所が公開されます。

この点、事務所を借りていれば、お客様には自宅住所を公開しなくても業務をすることができますので、特に女性や同居家族のいる方にとっては安心して仕事ができます。

ただ、行政書士法人の社員になると登記簿に自宅住所が記載されてしまうので、この点は留意しておきましょう。

面談場所として便利

最近ではZoomなどのオンライン会議もかなり普及してきたので、以前よりは打ち合わせ場所に困るシーンが減ったとは言え、お客様によっては、行政書士事務所での打ち合わせを希望される方がいらっしゃいます。

お客様の事業所で話すことが憚られる内容だったり、行政書士に相談していること自体を周囲に秘密にしたかったりするお客様は、行政書士事務所で話したいという意向が強いです。

また、比較的大きな会社に多いのですが、行政書士の信用調査の一環で、行政書士事務所へ来所されるお客様もいらっしゃいます。

貸し会議室やカラオケボックスなどでカバーできる部分もあるのですが、事務所に応接スペースがあるとやはり便利です。

プライベートと仕事が切り替えやすい

自宅と事務所を分けることで、プライベートと仕事を区別しやすくなります。

ほとんどの方は、お一人で行政書士事務所を開業していますが、そうすると自身を監督する上司や一緒に働く同僚の目がなくなります。

開業当初はモチベーションが高く仕事に集中できるかもしれませんが、それを数ヶ月維持するのはなかなか難しいのではないでしょうか。

人間は意志が弱いです。

楽な道を選ばないためにも、プライベートを過ごす場所と仕事をする場所を物理的に分けることで、気持ちが切り替わるというのもメリットです。

自宅開業のメリット

コロナ禍を経て、世の中のオンライン化もかなり進み、オンラインや郵送で行える行政書士業務も増えたので、自宅開業のデメリットは以前より少なくなりました。自宅で行政書士登録の要件を満たせるようであれば、自宅開業もメリットは色々あります。

とは言え、事務所を借りるメリットでも書いたとおり、自宅住所が公開されてしまうというのは、人によっては大きなリスクになってしまうので、開業資金を考慮しながら慎重に検討した方がいいです。

自宅開業した場合のメリットをいくつか紹介します。

開業コスト・運用コストが削減できる

自宅開業を選択した場合の最大のメリットは開業コストと運用コストを削減できるところでしょう。

自宅とは別に事務所を借りた場合は、敷金(保証金)や不動産会社へ支払う仲介手数料などの初期費用、毎月の家賃・管理費・光熱費・通信費などがかかります。

自宅を事務所とする場合はこれらのコストを削減できるため、少額の資金で開業をすることが可能になります。事務所を借りずに節約した資金を、広告費などに使うことで、早期に事務所経営を安定化させることができるかもしれません。

通勤時間がかからない

自宅事務所の場合には、通勤時間がありません。

特に育児や介護をしながら行政書士開業をされる方にとっては、通勤時間をカットできるため、仕事とプライベートが両立しやすくなるという面があります。

また、開業当初は、実務の勉強と営業の両方を進める必要があるため、何かと忙しいです。

カットできた通勤時間を、実務の勉強時間、ホームページに掲載する記事作成、お会いした方へのお礼状作成などの営業活動などといったことに充てることで、早期に事務所経営を安定化させることができるかもしれません。

また「深夜に案件で気になることが頭に浮かんできた」という場合であっても、すぐに書類やパソコンを確認することができるのも意外と大きな利点かもしれません。

最終的には人それぞれ

冒頭でも書いた通り、自宅開業も事務所を別で借りるのも、それぞれに利点があり、「こっちが正解!」というものはありませんので、

  • 開業資金はどのくらいあるのか
  • 行政書士としてのメイン業務は何か
  • 主なターゲットはどのような属性か
  • どのような活動をしていくのか

など、様々なことを考慮して決める必要があるのではないでしょうか。

Genomos

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