ホームページからの集客にチャレンジした行政書士から、「ホームページから集客をすると客層がよくない(だからホームページからの集客はダメだ)」という意見を聞くことがあります。
果たして本当にそうなのでしょうか。この記事では、ホームページの中で客層に影響を与える主な要素を紹介しながら、この疑問について考えてみます。
客層を想定してホームページを作ったか
この記事でお話する内容すべてに共通することですが、大前提として「どのような客層からどのようなアクション(依頼、問い合わせなど)を起こして欲しいのか」という点は、ホームページを制作する時点である程度明確にしておかなければなりません。
この点が不明確なまま漫然とホームページを制作・運用しても、現状をどう評価して何を改善すればいいのかもわからないため、望むような結果が得られるかどうかは運次第ということになってしまいます。
ホームページのデザイン
配色やプロフィール写真、画像配置、ページ全体のレイアウトといったデザイン要素は、どのような人に好まれるかが大きく変わるホームページの重要な構成要素です。
大手事務所の雰囲気が強い綺麗なデザインを好む人、カラフルでポップなデザインを好む人、手作り感のある親しみを持てるデザインを好む人など、ホームページの訪問者には様々な好みを持つ人がいます。
そしてそれぞれの層が(例外は当然あるにしても)、どのような傾向にあるのかということも一定程度予測が可能です。
そこから逆算して「この層が好むデザインはこれ」「この業務を受任するためにはこの要素を強める」というところからホームページをデザインすることで、実際の運用の中で改善していくことが可能になります。
「売り」にしているポイント
どのような点を行政書士事務所の「売り」としてホームページ上でアピールするかによっても、どの層に届きやすくなるかが変わります。
例えば、価格を主にアピールした場合と業務品質を主にアピールした場合では、反応を得られる層が違うのは想像がつくのではないでしょうか。
また、実際に「売り」にしたいポイントと、ホームページ上で主にアピールしているポイントが食い違ってしまうと、望んだ層からのリアクションが得られないという事態に陥ります。
「そんなことが起きるのか」と思う方もいるかもしれませんが、他のホームページでよく見る表現を何気なく使ったり、業者にコピーなどを丸投げしているケースなど、意外とズレが生じていることは少なくありません。
よくない客層とはどんな客層なのか
そもそも、「行政書士のホームページからはよくない客層しか呼べない」という場合の「よくない客層」とは、どんな客層のことなのでしょうか。
相談だけして依頼する気のない客層のこと?
おそらく、ここで言うところのよくない客層というのは、無料相談などを使うだけ使って、行政書士が提供する業務は全く依頼する気のないホームページ訪問者という意味であることが多いでしょう。しかし、
「相談するだけ相談して、依頼してくれないなんて酷い」
と思われる行政書士の多くは、自らそのような訪問者を呼ぶ構造でホームページを運用していたりします。
「どんなことでもお気軽にご相談ください」「無料相談受付中」と自ら主張しておいて、いざ相談が入ると「依頼してくれないのは酷い」というのは、どうにもおかしな話です。
報酬額を値切ってくる客層のこと?
また、業務の料金をとにかく安価に抑えようと、値切るだけ値切ってくるようなホームページ訪問者を「よくない客層」として話題にするケースも多いかもしれません。
この場合も、ホームページでもっとも目立つ位置で「業界最安値クラス」「低価格でサポート」という風に安価であることを売りにしていることが多く、料金が安いことを重要視する客層を自ら呼び込んでいることが原因だったりします。
料金が安いからという理由で依頼する事務所を選ぶ客層は、どれだけ迅速・丁寧に仕事を進めても、もっと安い事務所を見つけた時点で「失敗した」と思うものです。満足度の向上につながりにくいため、安易に料金を下げるとリピーターが獲得できず、中期的・長期的な行政書士事務所の運営は難しくなります。
記事の文体
記事の内容がある程度のレベルに達していることは当然ですが、文体によってもどの層に届きやすいかに影響します。
読みやすさを重視した、くだけた文体を好む人もいれば、正確さを重視した堅い文体を好む人もいます。
また、言葉遣いについても、どの程度丁寧にするのかによって届きやすい層が変わります。
例えば、とても丁寧に敬語を使って書いたときに「丁寧できっちり仕事をしてくれそうだな」と感じる人もいれば、逆に「堅苦しくてとっつきにくそうだな」と感じる人もいます。
そして文体に違和感があると、記事をしっかり読んでもらえる可能性が下がります。
訪問者がどのくらい文章を読んだか(ページの滞在時間やスクロール量)についても検索エンジンは評価していると言われていますので、想定する客層にマッチした文体を選択することも重要です。
まとめ
ここまで紹介してきたものだけではありませんが、ホームページ上の様々な要素によって、どのような層からリアクションを得やすくなるかは、ある程度コントロールすることができます。
もちろん簡単なことではありませんし、場合によっては意図した結果にならないこともありますが、「どのような客層からどのようなアクションを起こして欲しいのか」を明確にして改善を繰り返すことで、想定していた層からの依頼、問い合わせを増やすことは可能です。
ホームページを制作する時点で客層を曖昧にしたまま、公開した後も何の調整も行わなければ、行政書士として意図する客層が呼べないのは当たり前といえば当たり前です。
ホームページだから客層がよくないということはありません。むしろ、ホームページをしっかり調整できれば、自分が意図する客層ばかり依頼が入ることになるため、事務所運営には非常にプラスの効果が期待できます。