『建設業法と建設業許可(第2版)』
出版社:日本評論社
著者:日本行政書士会連合会 編
建設業に関する法令や契約の知識を実務専門家が平易に解説。令和元年度建設業法改正にいち早く対応。そのポイントを反映した改訂版。
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8511.html
阪本コメント
建設業法と建設業許可制度の解説書として、建設業に関与される行政書士さんならば必携の一冊。
建設業務は行政庁が作成している手引きが充実しているので、手引きだけでも申請書類を作成して受理となるレベルまで到達できるでしょう。
とはいえ、代書屋から、その先の許認可申請のプロフェッショナルを標榜するための深い知見を習得するためには、実績の積み重ねと良質な専門書が必要になります。
本著では、許可要件の解説に加えて、行政の視点と司法の視点まで紹介されており、建設業許可制度の理解と整理に役立ちます。
また、本著からは、私のように建設業務には関与しない行政書士であっても、様々な気づきを得ることもできるでしょう。
自分は何のために申請を代理し、どこまでが報酬を受け取るべき業務であるかを説明し、報酬をいただいてミスなく申請をする以上、必要な聴取事項なのだということを理解していただく努力と、「この行政書士は信用できる」と思わせる説明力を常に磨かなければならない。
P112 「行政書士代理申請と欠格要件」のコラム
提出書類への押印が不要になったことで、行政書士の申請者の申請意思・欠格要件の確認の重要度が増しています。建設業務に限らす、許認可申請業務に関与する行政書士の『素養』が本著に記されています。
泉谷コメント
建設業許可に関する書籍は、このコーナーもで何冊か紹介してきましたが、日本行政書士会連合会が編者となっているだけあって、その中でも最も硬派な一冊です。
各内容については根拠条文などが明示されていますし、基本的な建設業法の整理から一歩踏み込んだ「深く追求!」「実務の現場」「コラム」では、実務上問題になりやすい点や法改正の経緯(最近話題の押印廃止に関する問題についての記載などもあります)などにも触れられていて、本書をより実用的なものにしています。
業務に習熟してきて難易度の高い案件にも取り組むようになってくると、業務を行う上で問題になるポイントも、手引きに載っていることやインターネットで調べた程度でわかるような事項では無くなってきて、段々と通達、通知、条文、判例なども含めて調査した上で行政機関と相談しながら結論を探る、ということも増えきます。
本書はそんな段階になっても充分活用できると思いますので、建設業許可を取り扱う行政書士にとっては必携の一冊ではないでしょうか。
岩本コメント
手引きを一通り読んだ段階、そして建設業許可の申請を一度行った段階ではイマイチ見えにくい、「具体的にはどんなことが問題になるのか」が分かる本です。そのため、これから建設業許可の概観を押さえようという段階よりも、手続き概要については一通り押さえた段階で、知識を確認・深化させるのに役立つ書籍といえそうです。
建設業許可申請の様々な場面で問題となりやすい点について、重点的に触れられていますので、一度でも建設業許可の申請を行ったあたりで行政庁の手引きと見比べながら一通り目を通しておくと、その後の相談や申請で判断に迷わずに済むケースが多くなるのでは。
また本書は判例や処分事例も多く掲載されているため、「ここがもしダメなときはどうなるのだろう?」と、なんとなく気になる部分まで具体的なイメージとして把握して知識化しやすい作りになっています。
2021年3月に第2版として刊行された本書は、最近の制度や動向についても比較的丁寧に触れられていますから、既に建設業許可に携わっている行政書士さんが、知識の整頓・アップデートを行うための一冊としても役立つのでは。