元&現役行政書士のGenomosメンバー3人が座談会形式で語るGenomos座談会の第4回は、行政書士の名刺について語ってみようと思います。
Genomos代表、士業向けウェブ制作会社風デザイン株式会社代表。元行政書士。
Genomos経営コンサルティング担当。行政書士法人シグマ代表社員。
Genomos所属。行政書士法人シグマ代表社員。
行政書士の名刺
行政書士に限った話ではありませんが、ビジネスをする上で名刺はいまだに必要不可欠なツールのひとつだと思います。今回はそんな名刺についてあれやこれやと話してみましょう。
ということで、まず最初に聞きたいのですが、お2人が自分が使う名刺で「ここはこだわっている」というポイントはどこですか?
今も昔も変わらないのは「文字の読みやすさ」でしょうか。
デザイン重視で文字を小さくするとスタイリッシュにはなりますが、名刺をもらった側は読みづらくなってしまうので。この辺は自分のこだわりというよりも、ウチのデザイナーさんのこだわりという面が強いです。
あと行政書士の頃は、顔写真を入れて名刺を見れば誰かすぐ分かるようにするというのは心がけていました。行政書士業務が発生したとき、思い出してもらわないことには依頼にはつながらないので。
私も岩本さんと同様に顔写真を入れるようにするところが一つ目のこだわりポイントです。
もう一つ目のこだわりポイントは、紙質でしょうか。
名刺に記載されている内容が一般的でも、紙質がイマイチだと、事務所が陳腐に見えてしまうので。
とはいえ、紙質を追及しすぎて一枚あたりの単価を上げすぎると印刷コストがかかりすぎるので、一般企業さんが使われている名刺と触り比べても同レベルと感じて頂けるような紙質を目安にしています。
紙質は私もけっこう気にしますね。
一番衝撃的だったのはコピー用紙を切ったものでしたが、これはちょっと紙質どうこうのレベルでは無い気もします(笑)
岩本さんのお話にもあったように、デザインの見栄えと読みやすさのバランスというのも難しくて、デザイナーの腕の見せ所ですね。
デザインでいうと縦と横がありますが、お2人の好みはどちらですか?
基本的には横です。最近は横向きの名刺が多いのと、それを前提に名刺フォルダーも横向きに入れることが多いと思うので、合わせておくほうが受け取る人は手間が少ないかなというのが理由です。
と、いいつつ、ジェノモスの名刺は縦型ですね。「好み」という点でいえば、縦でも横でも情報の納まりがよければ特にこだわりません。
なるほど。使い勝手や受け取る相手のことを考えると横向きが良いですね。横向きの方が顔写真を大き目に配置できるのかなと思います。裏面も、横書きの方が情報が載せやすいのではないでしょうか。
と、いいつつ、個人的には、縦型の名刺に憧れがあります。縦書きで、必要最低限の情報しが記載していない、極限までシンプルなデザインの名刺です。
私が個人で使っている名刺はそれに近いですね。縦書きで電話番号すら載せてないです。
でも正直営業面の効果をほとんど考えていないから出来ることではあると思うので、実際には情報量や使い勝手を考えて横書きが無難という感じですかね。
あ、それと縦横関係なく、アメリカの名刺サイズ?なのか少し小さいのとかは、保管のときに大きさが揃わないのがちょっと嫌だなというのはあります。
ところで名刺と切っても切り離せないものとして名刺交換がありますが、ここにも「お互い下から渡そうとしてどんどん下がっていった」とか「そこに名刺入ってるの!?」とか色々エピソードがありそうな気がします。
私は最近めっきり名刺交換の機会が減ってしまったので、ゴルフのときに名刺交換できるようにスマホケースに何枚か入れているという、誰の役にも立たない豆知識くらいしかネタがありませんが……。
お2人は名刺交換のときの印象深いエピソードはありますか?
実は私は名刺交換が得意ではありません・・・。
新卒で入社した旅行会社の新入社員研修でご指導頂いたやり方を基本にやっていますが、今、マナー講師のチェックを受けたら、多くのダメ出しを受けると思います。
名刺交換のときのエピソードですが、私は相手の名前を覚えるのが苦手で、相手方が複数名いらっしゃるとき、順々に名刺交換をして、いざ、机の上に席順にあわせて名刺を並べ替えるときにわからなくなることがよくあります。
打合せ中にお名前を間違うのは失礼ですので、相手方が5名以上の打合せは、打合せ内容よりも、お名前を間違えて粗相しないか心配で緊張します・・・。
いや、なんかもう、開業当初の名刺交換は相当にたどたどしかったなという苦めの思い出ばかりです。
そういえば、名刺に携帯電話の番号を載せるか載せないか的な話題もたまにありますよね。お二人はどうでしたか?ちなみに私が行政書士の頃は、最初は事務所の固定電話しか記載していませんでしたが、途中から携帯番号も並記するようになって、最終的には固定番号をカットして携帯番号しか記載しないように変遷していった記憶があります。
ちなみに今は、固定電話も携帯電話もどちらも載せてません。
私なんか名刺交換は未だに見様見真似という感じでやっているので、気にする人からは「無礼なやつだ」とか思われてるのかもしれませんが、この手のマナーってキリがないのでいつからか気にしなくなっちゃいました。
それとご質問の電話番号ですが、あまり考えずにやっていたので正直あまり覚えていなかったので、昔のデータを見たら写真、固定電話、FAX、メールアドレスと事務所ウェブサイトのQRコードでした。
データの日付を見ると2012年に使っていたものみたいなので、QRコードは割と早いタイミングで載せてたのかもしれません。
ちなみに現在シグマで使っているものは併記ですね。これは阪本さんのこだわりポイントということで、説明は阪本さんにお願いできれば。
了解です。
シグマで現在使っている名刺に固定電話と携帯電話を併記しているのは、お客様からお預かりする名刺にも固定電話と携帯電話を併記されていることが多いからという理由です。
名刺に記載している情報をお客様と同じレベルにしておくと、「はじめまして」の入口の部分で怪しまれることはないのかなと考えています。
シグマのお客様は上場企業さんも多い上、今回初めて行政書士に許認可申請手続きを相談するという企業様もいらっしゃいます。そのような企業のご担当者様に、固定電話番号が記載されておらず、携帯電話番号とフリーメールのメールアドレスが記載されている名刺をお渡しすると、お客様は、「おや?」という違和感を感じられるのではないでしょうか。
私のこだわりポイントは、お客様の違和感をなくすということでしょうか。
無駄に違和感を与えないというのは名刺に限らず重要ですが、「自分が普通だと思っていたら普通じゃなかった」ということも起こり得るので、意外と難しいポイントでもありますよね。
フリーメールで思い出したのですが、最近は個人のフリーランスの人なんかだとGmailを使っている人が増えているという話を聞いたことがあるんですが、岩本さんは行政書士のメールアドレスがGmailというのはどう思いますか?
しばらく前は「フリーのアドレスを使っていると事務所のイメージ自体が適当な感じになってしまう」的な話もちょこちょこ耳にしましたが、最近はどうなんでしょう、あまり聞かなくなったかな。時代変わって、フリーのアドレスだろうが独自ドメインのアドレスだろうが、しっかり仕事してくれるなら何でも構わないといった人や会社が増えてきたような気もします。
そもそも、独自ドメインで運用するメールのほうが、セキュリティ面でGmailより相当弱い可能性もあるので、その辺は受け取る側の考え方にもよりますよね。
とはいえ、行政書士だと即独立の人も多いと思うので、そうなると実務能力や接客力にも自信が持てない中で「Gmailでは変だと思われないだろうか」と相談開始直後に妙な不安がプラスされるくらいなら、独自ドメインで事務所のメールアドレスを作ってしまうほうが無難かもしれません。
あと名刺といえば、「事務所の名刺」1種類で何でも済ますのではなくて、ホームページと同様に「事務所総合の名刺」「業務特化型の名刺」と使い分けるほうが断然受任は近くなるように思います。「建設業に強い誰々さん」「ビザ申請の何々さん」と思い出してもらうためには、名刺が特化していないとなかなかに難しいので。
その辺、阪本さんはどう思われますか?
私も岩本さんと同じ考えで、名刺の特化も大切だと思います。
お客様はWEBを見たり、知人の紹介がきっかけで「〇〇業を専門としている」行政書士さんに相談しに来たのに、面談の冒頭に、専門以外の業務がいくつも書かれている名刺を渡されると違和感を感じられるのではないでしょうか。「結局ご専門はどちらの分野ですか」と。
私は不器用なので、シグマの取扱い分野以外は対応できません。
そのため許認可も民事も契約書作成もなんでも対応できる総合型の行政書士さんには嫉妬しかないのですが、お客様やご紹介者の方々にいざという時に思い出して貰うためには、見せ方の一貫性が大切だと思います。
名刺も、ホームページ同様、はじめはなんとなくで用意することも多いので、事務所の成長に伴って色々試行錯誤していくと、強力なツールに育てることができそうですね。
Gmailの話もそうですが、わたしたちも決して若いとは言えない世代になってしまったので、若い人たちと感覚が大きく異なる部分があるかもしれないということは、常に頭の片隅に置いておかないと、「老害」と言われてしまう可能性もありますね(笑)
新型コロナウイルスの影響もあって、これからますます名刺の在り方みたいなものも多様になっていくかもしれませんが、柔軟に対応していきたいものですね。
(座談会第5回に続く)