Q. 行政書士事務所の開業準備を進めている者です。FAXが必要かどうかについて悩んでいます。行政書士登録申請書にはFAX番号を記載する欄がないし、固定費を減らしたいので、メールがあればFAXは不要なのではと考えています。
A. お客様や行政機関のやりとりにFAXを使用する場面があります。FAXがないことで実務の進行が遅延することも考えられますので、行政書士業務では、当面はFAXが必要だと思います。
「FAXって今でも必要なの?」と感じる方も多いかもしれません。確かに、デジタルツールが進化し、日常的な業務の多くはオンラインで処理できるようになりました。しかし、現状の行政書士業務においては、FAXが依然として必要な場合が少なくありません。その一方で、FAXを不要とする声も多く聞かれます。デジタル化が進んでいる中で、FAXが本当に必要かどうかを再考し、最適な選択をすることが重要です。この記事では、行政書士業務におけるFAXの必要性とそのリスクを深掘りし、現実的な対応策をご紹介します。
FAXが必要なケース
相手方がメールでやり取りをしてくれないとき
デジタル化が進んだ今でも、すべての相手がメールやオンラインツールでやり取りをしてくれるわけではありません。特に、古い慣習に従っている企業や行政機関では、FAXでの送付を求められることがよくあります。このような場合、相手の要求に従ってFAXを使わざるを得ません。メールでのやり取りができない場合、FAXが一番スムーズに対応できる手段となります。
急ぎで書類を送らないといけない時
FAXの最大の強みは、送信後すぐに相手に届くことです。急を要する書類や、どうしても早く送らなければならない場合には、FAXが便利な手段となります。特に、行政手続きの期限が迫っているときなどは、FAXでの送信が頼りにされることが多いです。
行政機関がFAXでの送付を求める場合
一部の行政機関や企業では、未だにFAXでの送付を求められることがあります。このような場合、相手方の要求に合わせてFAXを利用することが必要です。
FAXのリスク
送信先を間違えるリスク
FAXは、送信後すぐに相手に届くため便利ですが、送信先を間違えるリスクがあります。誤って別のFAX番号に送ってしまった場合、書類が意図しない相手に届いてしまうことがあります。特に、機密性の高い書類を送る場合、送信先を間違えると大きな問題になりかねません。
送信確認が不完全な場合
FAX送信後、送信完了の確認メッセージが表示されますが、この確認だけでは本当に送信先が正しいかどうかを確実に確認できません。受信側のFAX機が正常に動作していなかったり、受信番号が間違っていると、書類が届かないこともあります。
手間と時間のかかる確認作業
送信先を間違えた場合、再度送信をし直す手間や時間がかかります。また、手書きでFAX番号を入力していると、些細なミスで送信先が間違ってしまうことがあります。このようなリスクを避けるためには、確認作業をしっかり行う必要があります。
やり取りが遅れるリスク
FAXでやり取りを行う場合、相手が送信してくるまで待つ時間や、送信後の確認に時間がかかることがあります。また、FAXの送信ができない相手とのやり取りは、その分時間がかかるため、スムーズな進行を妨げることもあります。さらに、相手がFAXを使用しない場合、メールやオンラインシステムでのやり取りに比べて、業務の効率が落ちることもあります。このような遅れが続くと、最終的にお客様に選ばれない可能性も出てきます。
FAXの固定費がかかる
もう一つのデメリットは、FAXを維持するための固定費です。FAX機や回線、インク代、紙代など、日常的にかかるコストがあります。特に、業務がデジタル化されてきている現在、FAXを使う頻度が少ない場合でも、これらの固定費が無駄に感じることがあります。企業にとっては、この費用を削減したいという意見もありますが、現状では必要経費として仕方なく払っているところも多いのが現実です。
FAXの効率化—ネットFAXの活用
ネットFAX(インターネットFAX)を導入することで、FAXに伴う多くのリスクやコストを軽減することができます。ネットFAXは、従来の電話回線を利用せず、インターネット回線を通じてFAXを送受信するシステムです。これにより、次のような利点があります:
- コスト削減:ネットFAXは、専用のFAX機や紙、インク代を削減できるため、FAXの維持にかかる固定費を大幅に削減できます。
- 時間短縮:FAX送信がオンラインで完結するため、従来のFAX機のように紙をセットしたり、送信確認を手動で行う必要がありません。
- 場所にとらわれない:インターネット環境があれば、どこからでもFAXの送受信が可能となり、オフィス外でも業務を行いやすくなります。
ネットFAXを導入することで、FAXの利便性を活かしつつ、デジタル化のメリットを享受することができます。これにより、従来のFAX業務の手間やリスクを減らし、より効率的な業務運営が可能となります。
行政書士業務にはFAXが必要な場面がある
FAXが不要だという意見もありますが、現状では行政書士業務においてFAXは依然として必要なツールであると言えます。特に、相手方がメールでやり取りをしてくれない場合や、行政機関がFAXでの送付を求めている場合には、FAXが重要な役割を果たしています。しかし、FAXには送信先ミスや確認作業の手間、やり取りの遅れ、固定費がかかるといったリスクが伴います。
そのため、FAXを完全に排除するのではなく、ネットFAXのような効率的な手段を活用することが賢明です。ネットFAXを導入することで、コスト削減や時間短縮、リスク軽減が期待でき、業務の効率化に繋がります。デジタルツールとFAXを上手に使い分け、効率的で安全な業務遂行を目指すことが、今後の行政書士業務における鍵となるでしょう。行政書士事務所開業の際の参考にしていただければ幸いです。