行政書士事務所のホームページを作るときは、独自ドメインを取得しておくと多くの面でメリットがあります。独自ドメインには様々な種類がありますが、どのような独自ドメインを取得するべきなのでしょうか。
独自ドメインの基礎知識
独自ドメインというのは、(先に誰かが取得していなければ)自分の好きなものを選んで取得できるドメインのことで、自分でホームページのURLを指定できます。
費用としては1年間で1,000円程度から数千円程度のものが多いです。
独自ドメインについて考える前に、少しだけ前提となる用語について共有させてください。
例えばいまご覧になられているこのホームページのURLは
”https://gs.genomos.co.jp”
ですが、この記事では以下のように分けて説明していきます。
なお、正確な用語の用法とは異なります。あくでもこの記事で解説するための用法としてご理解ください。
- ”genomos”がドメイン名
- ”gs.”がサブドメイン名
- ”.co.jp”がトップレベルドメイン
正確な用語、用法が知りたい方はこちらの記事などが参考になると思います。
行政書士事務所のドメイン名について
まず行政書士としてのWebサイトのドメイン名については、大きく分けてふたつの観点から決めることが多いです。
- 事務所名から想起されるもの
- 特定の業務から想起されるもの
事務所名か業務名か
行政書士事務所のパンフレット的なホームページ(コーポレートサイト)であれば、事務所名を入れたものになることが多いです。
例えば行政書士事務所の名前が「ジェノモス行政書士事務所」であれば、”genomos”が入ったドメイン名が候補に挙がると思います。
一方で、特定の業務、例えば建設業許可に特化したホームページを作るのであれば、”kensetsu”などが入ったドメイン名が候補に挙がってきます。
サブドメインを使うべきか
なお、このようなケースで、サブドメインを使うかどうかは検討しておくべきです。
具体的には”kensetsu.genomos”にするのか”kensetsu-kyoka”にするのかという点です。
前者はサブドメインを利用した例ですが、ドメインの契約数を増やさずに済むことや、事務所名が入っていてURL上から運営者が想像しやすい、ドメインを総合的に育てて(強化して)いきやすいという利点があります。
しかし、事務所名が変わったときにドメインも変更する必要が出てきたり、あとでホームページを譲渡したくなった場合などにそのまま譲渡できないということも想定されます。
一方後者の例では、業務そのままの単語がドメインに含まれるため分かりやすいこと、事務所名を想起させる言葉が入っていないためURL変更などをせずそのまま譲渡できること、といった利点があります。
強いこだわりがないのであれば、行政書士事務所の業務特化型のホームページでは、汎用性の高い後者のドメイン名(業務に応じたドメイン)をオススメします。
ドメインを取得する際の注意点
また、あまり極端に長いドメイン名はオススメしません。例えば”genomosgyouseisyoshijimusyo”のように長いものは避けた方が無難です。
やはりURLが長過ぎると単純にパッと見たときに分かりにくく不信感を持たれてしまうこともありますし、名刺などを見ながら手動で入力するようなケースで余計なストレスを与えてしまう可能性も高くなってしまいます。
そもそも、短く分かりやすいドメインが使えることが独自ドメインのメリットの1つなのですが、極端に長いドメインではそのメリットが完全に打ち消されてしまいます。
表記方法が割れるものは注意
さらに口頭で説明する可能性も考えて、できれば複数の表記方法が想定されるものも避けるほうがよいでしょう。
例えばURLを口頭で伝えて「ギョウセイショシ」と言ったときに、”gyouseisyoshi”なのか”gyouseisyosi”なのか、それとも”gyoseishoshi”なのかが紛らわしく、ホームページにたどり着けないなんてことが起こってしまうこともあります。
行政書士のメジャー業務である建設業許可も、”kensetsu”なのか”kensetu”なのか迷う単語です。
そうは言っても簡潔で短いものは先に取得されていることも多いので、短い単語2つを組み合わせてハイフンで繋ぎ、取得されていないものを探してみましょう。
日本語ドメイン
ドメインはローマ字表記が一般的ですが、たとえば”ジェノモス.com”や”慈恵之模巣.com”など、日本語を使ったドメインを取得することもできます。
日本語ドメインは一見すると分かりやすそうに見えますが、実際の挙動は半角英数で処理されています。そのため、URLをコピー&ペーストしてメールで伝えるときや、Googleの検索結果に表示されるときなど、日本語ではなく記号の羅列になってしまうことがよくあります。
たとえば、上記の”ジェノモス.com”も、
”xn--hck7ae7fue.com”
という意味の分からないドメインになってしまうため、行政書士として業務に使うドメインとしてはあまりオススメはできません。
トップレベルドメインの選び方
次にトップレベルドメインの選び方を見ていきましょう。
このホームページで言えば”.co.jp”の部分がトップレベルドメインですが、行政書士事務所でよく見かけるものだと”.com”、”.jp”、”.biz”などがあります。
一応トップレベルドメインにも意味があるので、代表的なものをいくつか紹介します。
- .co.jp:日本国内で登記されている法人が取得できる(行政書士法人も取得可)。
- .or.jp:日本国内で登記されている法人が取得できる。団体的な意味合いが強い。
- .com:「商用」という意味で最も広く使われている。誰でも取得可能。
- .jp:日本に住んでいる人が取得可能。
- .net:インターネット関連用のドメイン。誰でも取得可能。
- .biz:”.com”とほぼ同じで商用目的のドメイン。誰でも取得可能。
- .org:主に非営利目的のドメイン。誰でも取得可能。
基本的には上記のようなものから空いているものを選べば通常は問題ありません。行政書士法人として登記すれば、法人が取得可能なトップレベルドメインも選択が可能です。
ただ、上記の中だと”.org”は非営利のイメージが強いこと、見慣れない人も多いことから、行政書士事務所のホームページには不向きかもしれません。
避けるべきトップレベルドメイン
上記で紹介したようなトップレベルドメインの他にも、かなり安いものや日本で使うには向いていないもの(”.xyz”、”.online”、”.site”、”fun”など)があるため避けた方が無難です。
こういったドメインは、スパムメールの発信やフィッシングサイトに使われることも多く、不信感を与えてしまうことがあります。
また、何らかのクラウドサービスを利用する場合やネットでの契約を行うとき、正式に取得したドメインで作ったメールアドレスでも「正しいメールアドレスを入力してください」と注意書きが出て受け付けてもらえないことがあります。
希望する名称が使えるからといって、特殊なトップレベルドメインを選択するとデメリットが大きいです。
中古ドメインを使うときの注意点
これまでは基本的に新規に独自ドメインを取得することを前提に説明してきましたが、過去に誰かが使っていた中古のドメインも販売されています。
独自ドメインは、作成されてからの時間が長いほど一般的にはGoogleなど検索エンジンの評価を受けやすい(とされる)ため、良い中古ドメインを取得できればメリットも大きいのですが、場合によっては過去にペナルティを受けたようなドメインもあります。
そのようなドメインを取得してしまうと、いくら頑張ってホームページを育てても、一向に検索エンジンから評価されないという事態に陥ることもあります。
中古ドメインのすべての過去の履歴を確認することは不可能ですが、もし使用する際には「aguse.jp」のようなサービスなどを活用して、少しでもドメインによるリスクを避けられるようにしましょう。
ホームページとメールのドメインは分けよう
多くの方は、ホームページ用に取得した独自ドメインをメールでも使うと思いますが、2つ取得しても予算は年間1,000円から数千円しか違いません。そこで、行政書士事務所の営業ツールとしてドメインを活用するときは、できればホームページとメールを分けてしまうのがオススメです。
それぞれを別に管理することで、ホームページとメールで別のクラウドサービスやサーバーを利用しやすかったり、ホームページのURLが何らかの理由で変わっても、メールアドレスはそのまま継続して利用できたりと、分けるメリットが大きいです(そのため、メールアドレス用のドメインは事務所名・行政書士名と少し距離を置いて、抽象的にしておくのもよいでしょう)。
まとめ
色々と細かいことも書いてきましたが、行政書士として利用するドメインに関してはあまり奇をてらわず、スタンダードなものから選ぶと問題が起きにくいでしょう。
ただ、ドメイン名というのはあとから変えようと思ってもなかなか簡単に変えられない要素です。
早々に名刺に刷って多人数に渡した後で、ドメインの問題点に気づいて修正を図ると、訂正の手間や名刺刷り直しのコストなど、かなりの手間がかかってしまいます。
独自ドメインを取得するとき、そして実際に使い始めるときには、やや慎重に検討を重ねた後で第三者に伝えるほうがよいでしょう。