「行政書士事務所が、検索エンジンの自然検索からホームページで集客できるといっても、それは大都市圏の事務所だけに当てはまる話だ」と言われることがあります。果たして本当にそうなのでしょうか。
結論から言えば、ジェノモスでは大都市圏以外の行政書士事務所でも、自然検索からの流入をメインとした一定の集客は成り立つと考えていますし、事実成り立っている事務所はあります。
「この地域でウェブ集客は無理」「○○業務は需要がない」と言っている人と同一の地域で、ウェブから相当の集客ができている事務所が存在するケースも多々あります。
ただ、ウェブからの継続的な業務受任を確立するにはいくつかの前提条件があるようなので、この記事ではその点をメインにお話してみようと思います。
商圏と業務の需要
そもそもホームページからの集客以前の話として、その行政書士事務所が集客したいと考えている業務について、ターゲットにしている商圏内で一定の需要があるのかという問題があります。
商圏内での一定の需要は見込めるか
極端な例ですが、住宅街をターゲットにしているのに風俗営業許可業務を売り込もうとしても、需要がないので上手くいかないのは当然です。
現実にはここまでわかりやすいズレは少なく、「やってみるまでどの程度の需要があるのかわからない」というケースもあります。
しかし、ホームページからの集客が上手くいかないときにすぐ「ホームページからの集客なんて無理じゃないか」と否定する前に、そもそも需要が十分にあったのかということは検討してみた方がよいでしょう。
対象となる人口と業務の関係
また、「ウチはかなりの田舎にあるのでホームページからの受任は難しい」という意見もよく耳に(目に)します。
確かに、人口数千人の村で行政書士を開業して、その村のみでウェブ集客を行おうとするなら、それはかなり無謀な考えである……というよりも母数から考えてほぼ不可能に近いでしょう。
ただ、ウェブはそもそも「エリアがあまり限定されない」ことが大きなメリットとなる媒体です。
ホームページとリアル営業の使い分け
仮に、何らかの理由からリアルな営業を人口数千人の村のみに絞るとしても、ホームページまでその村に揃えなければならない決まりはありません。
「何の業務を、どの範囲に告知すれば依頼が入るのか(人口的に何人くらいが対象になるのか)、依頼が入った場合に行政書士が対応できるエリアはどの程度の範囲なのか」という点を、よく考慮して設定・展開することで、リアルとホームページ双方からの集客ルートを構築できるからです。
なお、ウェブ集客が不慣れな段階では、母数が少ないほど難易度が上がります。できれば対象となる人口が20万~30万人を超える業務・範囲の組み合わせを創り出せないか、探ってみるほうがよいでしょう。
ホームページの育て方
ターゲットが大都市圏や全国対応ではなく、特定の地域で特定の業務について集客したい場合には、ホームページをどう育てるのかを考えるときに注意すべき点があります。
なんとなく更新していても地域性は出ない
まずどの範囲の地域をアピールしていくか、つまり、都道府県単位なのか市区町村単位なのかなど、どの範囲で勝負するかを決めます。これは業務内容によっても異なりますが、先ほども述べた需要・人口なども考慮して設定していきます。
また、必ずしもコントロールできるとは限りませんが、可能な限り「地域→業務」という順で検索エンジンに認識されるのが理想的です。
この点、単にホームページのタイトルに地域名を入れたからとか、対象エリアに地域名を記載したから、それですぐ検索エンジンも「このウェブサイトはこの地域を対象としているのだな」と簡単に分かってもらえるものでもありません。
エリアを一定の地域に絞るなら、その地域に絞ったコンテンツの拡充も、初期の段階から考慮してウェブの構築を進める必要があります。
業務の知識提供を優先すると地域性が薄れることも
上記と関連しますが、行政書士事務所の立ち上げ当初は特に、セミナーや書籍から得た業務の知識をアレンジして、ホームページ上に記事を増やすケースが多いです。
しかし、このやり方がホームページと地域の結びつきを薄め、アクセスが関係のない都市からしか発生しない要因として機能する場合もありえます。
実務経験がない(依頼が発生していない)状態で、地域性も考慮してコンテンツを拡充することは確かに難しい面があります。が、だからこそ多くの行政書士事務所が開業当初に同じような抽象的な記事を増やすことになり、結果として地域性が薄れて効果的な集客が難しくなっていることも確かです。
PPC広告も有効
大都市圏や全国対応で勝負する場合、リスティング広告などPPC広告の費用は高くなってきています。
ただ、一部の地域を狙うのであれば、特定のエリアからのアクセスのみに広告を表示するという設定もできるため、広告費用が安く抑えられるPPC広告は費用対効果が高くなります。
自然検索からの集客が軌道に乗るまでには通常1年程度はかかりますので、PPC広告でターゲットとする地域の集客をしっかり行いながら、ホームページを育てていくというやり方は、広告のコストはかかりますが時間のロスが少なくメリットは大きいです。
まとめ
上記のような前提を整えた上で、適切にホームページを育てることができれば、大都市圏以外の行政書士事務所でも、自然検索からのホームページ集客は可能です。
しかし、大都市圏の行政書士事務所と同じようなやり方をしてしまったり、継続的な記事追加ができず、なかなか結果が出なくて諦めてしまう人もしばしば見かけます。
諦めの原因に「地域性」を挙げているだけ?
むしろ、大都市圏でさえウェブ集客を軌道に乗せる前に諦めてしまう行政書士事務所が大多数であることを考えると、多くの場合、原因は地域性ではなくウェブサイトの方向性の誤り、そして多くは継続した更新ができないことである可能性が非常に高いです。
そもそも、「この地域で○○は無理」という否定的な意見は、その地域の状況や多数のデータから導き出されたものではなく、発言した個人がたまたま経験したに過ぎない限定的な感想ではありませんか?
地方であれば、大都市圏に比べて競合が少ないというメリットを享受できます。しっかりとしたホームページ運用ができれば、大都市圏で新たに行政書士事務所としてウェブ集客に参入するより、手間が少なくある程度のシェアを獲得できそうな地域も多々見受けられます。
また、「この地域は昔からの人間関係が重視されているので、紹介でなければ成り立たない」と仰っている行政書士を横目に、ウェブを活用する隣接地域の事務所が多くの需要を吸い取っている構図を目にすることもあります。
大都市圏ではないからとホームページからの集客を諦めず、しっかりと計画を練り、ホームページ以外の営業活動と並行して継続的なホームページの更新ができれば、地方の行政書士でも十分に勝機はあるはずです。