『電通現役戦略プランナーのヒットをつくる「調べ方」の教科書』
出版社:株式会社PHP研究所
著者:阿佐見綾香
「商品をもっと売りたいけれども、何から始めたらいいかわからない……」
「世の中のトレンドの移り変わりが激しく、どう対応したらいいかわからない……」
そんなときこそ、マーケティングリサーチ(=ヒットをつくる「調べ方」)の出番!
リサーチを上手に使えるようになれば、正しい「ターゲット」と「セールスポイント」を早期に絞り込めるようになり、無駄なお金や時間、労力といったコストをかけずに、ビジネスを成功させることができるようになる。だから、行き詰まっているときこそ、リサーチを活用しない手はない。
著者は、広告会社・電通のマーケティング部門で戦略プランナー職を10年以上続け、本格的なマーケティングリサーチを現場で叩き込まれてきた人物。
また、その経験をもとに、ヒットをつくる「調べ方」に特化し、ステップをできる限り簡略化したノウハウを言語化するとともに、効率化のためのオリジナルツールやテンプレートも開発。
そしてそれらは今、電通のマーケティング部門の、毎年恒例の新人教育プログラムの1つとして使われている。その内容を、1冊にすべて詰め込んだのが本書である。
「リサーチと言われても、何からやればいいのかわからない」「基本をちゃんと習ったことがない」……そんな人、必読!
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-84954-6
阪本コメント
行政書士がどのようなサービスを提供しているかは残念ながら世間からはわかりにくいです。行政書士事務所を開業しただけでは、お客様からの問い合わせ・依頼には繋がりません。
そこで、行政書士事務所であっても、提供しているサービスの「ターゲット」と「セールスポイント」の設定が重要になってきます。
この「ターゲット」「セールスポイント」どのように見つけるかの方法について本書では触れられています。
行政書士事務所向けに書かれた本ではないため、本書で紹介されているリサーチ手法の中には行政書士事務所には馴染まないものもありますが、仮説を立ててから打ち手が決まるまでの「調べかたの3つのSTEP」や「3C分析」の手法、認知から購入を経てロイヤルカスタマー化になるまでの「デュアルファネル」の考え方は行政書士事務所の事業計画の策定や経営する上で大切な視点です。
また、競合分析をされる行政書士事務所さんも多いかと思いますが、ベンチマークの対象を「類似」と「理想」の2つの視点で絞り出すというのは個人的にあらたな発見でした。
すでに直接的に競合しているのが「類似」、あんな法務サービスを提供したい、あんなふうな行政書士事務所になりたいというのが「理想」です。これを機に我々の事務所のベンチマークをあらためて確認します。
本書はマーケティングリサーチ術を紹介されている本ですが、マーケティングを検討する上では、絶対的に見失ってはいけない目線があります。それは、お客様が何を求められているのかという目線です。
「これは誰のどんな悩みを解決する商品なのか」
P144 第3章【リサーチの実践①】アイデアを形にする検証するリサーチ
あるいは
「誰のどんな欲求を満たす商品なのか」
これは行政書士事務所の場合であっても同じです。
顧客目線でのマーケティングリサーチをどのようにすればよいのかを学びたい方に本書を推薦いたします。
泉谷コメント
本書はタイトルやデザインから、比較的カジュアルな書籍のように見えるかもしれませんが、実は読んでみるとビジネススクールで学ぶような内容が、「リサーチ」を軸に幅広く書かれています。
これだけの内容を網羅的に解析した書籍が、安めの専門書一冊程度の価格で買えるのはかなりお得感があります。
本書を読むだけでも十分にマーケティングの知識が得られるように思えますが、更に踏み込んで、興味を持った分野の専門書を読んでみたり、ビジネススクール入学前の予習として使用したりと、活用の幅が広い書籍だと感じます。
行政書士事務所経営との関係では、3章に紹介されているインタビューについて書かれた部分はすぐに取り入れられそうだと感じました。
コンテンツとしての「お客様の声」などのインタビューだけでなく、普段の顧客との何気ない会話の中でも、ここで紹介されているようなことを意識することで、良質なフィードバックを得られるようになるでしょう。
読み物というよりは、教科書や参考書のような勉強するための教材といった感のある本書ですが、しっかりと勉強すればかなり有用なのではないでしょうか。
岩本コメント
正しいターゲットを設定し、そのターゲットに届くセールスポイントを策定するために必要な調べ方(リサーチ)が丁寧に解説されている「教科書」です。
「これは誰のどんな悩みを解決する商品なのか」
P144 第3章【リサーチの実践①】アイデアを形にする検証するリサーチ
あるいは
「誰のどんな欲求を満たす商品なのか」
上で阪本さんが引用した箇所と完全に被ってしまいましたが、行政書士がホームページを構築・公開するにあたって、もっとも欠けやすい視点がこの基本の部分です。
誰のどんな悩みを解決するのか。そのためにどんな文章やコンテンツを配置するべきなのか。ホームページ全体の構成はどうするべきなのか。つい「この業務も、あの業務も告知したい」「あの事務所のようなホームページにしたい」と、行政書士側の都合のみで組み上げてしまいやすいので、常に気をつけて方向性を調整したいところです。
行政書士は各業務のターゲットが(対象地域を含めて)それほど大きくないことも多く、場当たり的な試行錯誤の繰り返しに陥りやすい面があります。
本書で取り扱われているようなリサーチを要せずとも、当たって砕けろ(下手な鉄砲も数打ちゃ当たる)精神で突破できる場面も少なくはないかもしれません。しかし、リサーチの考え方やマーケティングの知識、そして仮説を立てるとき何に気をつければよいのかというポイントを押さえることができれば、より近道を、環境の変化に応じて駆け抜けることができると思います。